くっすん大黒の評価
くっすん大黒についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
くっすん大黒の感想
狂人になりきれない男の物語
世の傍流から見る景色この小説はある種の人間にシンパシーを感じさせるものです。まず冒頭からして突然始まる酒が飲みたいという独白。冒頭から酒が飲みたい主人公と言うとハードボイルドものや悲壮な物語を想像するかもしれませんが、全く違います。書き出しはこうです。「もう三日も飲んでいないのであって、実になんというかやれんよ。ホント。」何だかこう「酒のみてーなーどうにか何かなんねえかなー」という市井の感情にまみれた描写と言えます。いわば人生という鼻水をずびびっとティッシュに出してゴミ箱に投げ入れようとするもことごとく外し便所に行く途中にまとめて入れなおすような主人公なのです。いや、もしかしたら寝転がったままティッシュの投擲角度について延々と考え込むかもしれません。そんな僕たち私たちを投影したような作品こそ『くっすん大黒』なのです。主人公やその友人、そして登場する人々はどれも滑稽でだらだらしています。...この感想を読む