夏期限定トロピカルパフェ事件の評価
夏期限定トロピカルパフェ事件についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が4件掲載中です。
各項目の評価分布
夏期限定トロピカルパフェ事件の感想
小市民シリーズ
小市民になりたいそんなアホな。誰かに向かってそう言ったわけではなく、読んでいたらついそういう声が出てしまったのだ。こんなセリフを聞かされて「なるほどそれは立派なことだな」と同意を示す人などはまずおるまい。本来この言葉には「侮蔑」のニュアンスがあるのだ。自分をわざわざ貶めるような目標を持つ人間などあるはずはないと、誰もが考える。しかしそれこそが作者・米澤穂信の作戦であったことに、やがて気づかされる。小市民って?目薬をさすとき無意識に口を開けてしまう、おまわりさんとすれ違うと意味もなく緊張する、靴を履いたまま膝で歩いて忘れ物取りに行く。それが小市民だと言った(歌った)のは嘉門達夫である。もちろんこれはネタである。もう少しリアルな定義をすると、小市民とは平凡であることを信条とし、皆と同じことをちょっとだけ早くできると得意がる。世間体が大切で自分は中流だと信じて疑わない。出るほどに打たれるとい...この感想を読む