『君のためなら千回でも』:冷戦に翻弄された少年の"罪物語"。アフガニスタンの代表作。
ホッセイニの原点となる著作『君のためなら千回でも(上・下)』(原題:The Kite Runner)は、カーレド・ホッセイニの初めての大ヒット作品である。また、本作品は彼がその後執筆した『千の輝く太陽』(原題:A Thousand Splendid Suns)及び『そして山々はこだました(上・下)』(原題:And the Mountains Echoed)の原点であるとも言える。本エッセーでは、上記の三作品の比較を行ない、ホッセイニが描くメッセージを考察する。比較① 登場人物の設定ホッセイニは全作品において、登場人物を対比的に描写することに注力している。著者は対比を行なうことで、その格差の残酷性を描写し、当時のアフガニスタン社会を忠実に表現している。例えば『君のためなら千回でも』においては、アミールとハッサンは「金持ちのマジョリティ(パシュトゥーン人)と貧しいマイノリティ」であることを強調するような描写が多く見える。他にも、両者間では「臆病者と勇敢...この感想を読む
4.54.5
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