空中ブランコの感想一覧
奥田 英朗による小説「空中ブランコ」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
精神科医・伊良部から教えられること
本が好きじゃない人でも楽しめる「空中ブランコ」は、131回直木賞受賞作品。精神科医の伊良部の患者を軸に、五つのお話が掲載されています。小説が苦手、どうも自分には合わないと思っている方に、ぜひ読んでもらいたい作品。まるで、漫画かドラマでも見ているように、物語が進んでいきます。小説というと、心の葛藤や苦悩といった事が多い中、こちらの空中ブランコは、コメディタッチ。精神科医という、重いテーマを描きながら心の病を笑いで飛ばすお話は、爽快感抜群の物語となっています。伊良部の発言によって、今まで、悩んでいた事が、バカバカしく思えるかも知れませんね。日頃、本を読まない、文章を読むのが苦手と感じている方も、この本を読んで笑ってみて下さい。精神科医の伊良部のキャラクターが逸品精神科医というと、人の心を治す医者ですから、大人で人格者というイメージを持たれている人が多いのではないでしょうか?そんな、凝り固まった...この感想を読む
安心して読めるシリーズ物。
精神科医伊良部一郎シリーズ第2弾。伊良部先生は今回も期待を裏切らず、相変わらず笑わかせてくれました。今回も変わった患者さんたちが登場。飛べなくなった空中ブランコ乗り、先端恐怖症のヤクザ、ボールが投げれないプロ野球選手…など。みんな、デブで注射フェチの笑うと歯茎の伊良部先生に度肝を抜かれるけど、「ま、いっか」と再診に訪れます。この段階で患者はすーんと肩の力が抜けるんだろうな。いはゆるショック療法?そして、散々振り回されたあげく、「あれ?何か気持ちが軽くなってる。ここに通院してよかった?」というパターンはもう鉄板!安心して読めるシリーズ物です。
キャラが最高におもしろい
精神科医伊良部のもとに訪れるたくさんの患者たち。例えば、飛べないサーカスのブランコ乗りや、先端恐怖症のヤクザ、ボールを投げることができない野球選手。など変わった患者が繰り広げる心の問題をおかしく笑いにしています。義父のヅラは思わず声を出して笑ってしまいました。それが一番好きでしたね。話の内容ももちろんいいのですが、伊良部のキャラがたっているからこそ、ここまで面白いのだと思います。変わった医者が繰り広げる変わった物語。やりすぎがたまらなく面白い作品です。疲れた時に読むと元気を貰えます。前作イン・ザ・プールを読まず、こちらから読んでも問題ありませんでした。
前作よりもパワーアップした伊良部一郎
精神科医 伊良部一郎シリーズの第2作目で第131回直木賞受賞作にもなった作品。前作に引き続き、精神科医である伊良部一郎の破天荒な性格がよりパワーアップした感じで、相変わらず治療といってはビタミン剤を注射する注射フェチと露出気味の看護師のマユミも健在である。また、前作同様今回も短編小説であり、各話の主人公も個性的で「空中ブランコ」では伊良部一郎が自分の体形も関係なく空中ブランコに挑戦したりとか、「ハリネズミ」では渋谷界隈のシマとする尖端恐怖症のヤクザに対しても恐れることなく平然と接してしまうところは圧巻です。他の話も、まるで子供のように無邪気に取組み大人の行動とは思えないのがまた面白く、そういった行動が各話の主人公達にとっても癒しだったり、反面教師だったりして悩み事を解決してしまいます。ひとつひとつ行動が面白く、クスクス笑いながらもサクサク読めるのでお勧めします。この感想を読む