トカトントンの評価
トカトントンの感想
奇妙な音
主人公がある作家に手紙を書く形式になっています。主人公が何かに熱中しだすと、トカトントンという奇妙な音が聞こえてきて、熱意ややる気が突如消え失せてしまうのです。何だか要領を得ない不思議な話ですが、カーッと何かをやろう!!という情熱に駆られて、音をきっかけにそれが消えてしまい、脱力してしまう感じは、話の中にも出て来る、一九四五年八月十五日の終戦の日を暗示しているのかなと思いました。それまで鬼畜米英だの、欲しがりません勝つまではなんて言って、戦場へ行く家族の男を戦場で死んで来いと送り出す、そんな頭に血が上った状態と、日本の敗戦で気力を失った人々。当時の日本を象徴しているのかも知れません。