ナイチンゲールの沈黙の感想一覧
海堂 尊による小説「ナイチンゲールの沈黙」についての感想が2件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
壮大な前フリ
「チーム・バチスタ」シリーズの第2弾。もうメディカル・ミステリー要素はほとんどなく、SFのようなファンタジーのような内容だ。しかも上巻の半分が序章のようなもの。本編はまだ?といった印象。前作のような、大学病院を揺るがすような大事件が起きたわけでもなく(死者は出ているものの)、こじんまりとした新キャラ達が、こじんまりと動いていて、どうもテンポが掴めない。それだけに、白鳥が出てきた時は妙に安心したのだが、それでも何故か少し影が薄くて残念だった。また田口が愚痴外来で子供達の話を聞くあたりは、カウンセリングを行う者としてはあってはならないだろう、と突っ込まざるを得ない。そこで聞いたことは全て心に仕舞って、一切の口外も他への利用をしないものだろう?と釈然としない気分になった。これが下巻や次作にどう繋がるのか?という期待で読みきった作品だった。
「沈黙」の意味とは?
「チーム・バチスタ」シリーズの第2弾であるが、時間軸的には第3弾の『ジェネラル・ルージュの凱旋』と同時並行して発生した事件を描いているので、両者をあわせて読むと背景などが更によくわかる。もちろん、『ナイチンゲールの沈黙』単独でも完結したストーリーなので問題なく読破は可能ではある。相変わらず個性的なキャラクター(今回は特に看護師)が登場するが、それに負けず劣らず白鳥も早々に登場。殺人事件の調査も行われるなどよりミステリー色が濃い作品となった。しかしながら白鳥に田口が振り回される期間も当然長くなるわけで、彼ら二人のやり取りは読んでいるだけでも可笑しく楽しい。しかし同時に、小児科病棟で難病と闘う少年たちの哀しさも描写されていて思わず胸が詰まりそうにもなる。さて本作品も映像化はされているものの、ドラマとはかなり話も異なる部分が多く原作初見の方でも新鮮な気持ちで楽しめるのではないだろうか?この感想を読む