1Q84 Bookの感想一覧
村上 春樹による小説「1Q84 Book」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
所々気になる違和感が拭い去れない作品
魅力的な始まり方なにやら思わせぶりで訳知り顔のタクシードライバーとの会話から始まるこの物語は、冒頭から不思議な魅力となにが起こるのだろうという期待で、勢いこんで読むのではなくもっとじっくり味わいながら読まなくては、とどこか襟を正して向かおうと思うくらいの魅力があった。この物語でよく出てくるヤナーチェクの「シンフォニエッタ」という曲は作者も曲の名前も初めてこの小説で知った。せっかくなので聞いてみようと思い(小説に出てくる曲や映画、小説、料理など試してみようと思うのも、質のいい小説(時にはマンガでも)ならではと思う)、読みながらBGMとして聞いてみた。始めの高らかなファンファーレといい、胸を張ったような行進が目に浮かぶようなグランディオーソともマエストーソとも言うべき威風堂々とした始まり方は、青豆が登場するのにふさわしい音楽のように思われた。少し調べてみたところ、その堂々とした音楽はやはり...この感想を読む
ものすごい売れたけど・・・
発売当初、ものすごく売れていたし、話題にもなっていた。村上春樹の小説は今までにも何冊か読んでいて、とりあえず読んでみるか、という感じで読んだ。正直、よさがあんまりわからない。いままでの作品と雰囲気とかテーマとかあまりかわらないような気がする。というか、いままでの作品の総まとめみたいな感じがした。説明はいつもどおり、無駄に長く、その割にあまり伝わらない。不必要だろ、って思ってしまう性描写とか、女性の描写の詳しさに鳥肌がたった。どうしてこの作品があんなにはやったのかわからない。村上春樹の本は、世間の人にとって、持っているだけで、読んでいるだけで、文学に精通した、知的な人っぽくなれる、記号としての本になってるんじゃなだろうか。
評価が難しい
昔、数ページ読んで挫折したのを、最近リベンジしました。最初のほうは辛かった。面白い、とか先が気になる、とかなかったから。特に事件が起こるわけでもないし、「不思議な世界観だなぁ」なんて思いながら進めていく感じ。BOOK1を読み終えての感想は、・長かった・天吾が村上春樹のようだ(村上春樹本人を知っているわけではないのですが、作者が天吾の心を知り尽くしている感じが見てとれたような気がしたので。完全な推測です。ただ、心理描写がうまいというだけかもしれませんね。)とりあえず、時間をかけながらもBOOK1は読み終わったので、BOOK2も引き続き頑張ろうと思っております。
読むほどに集中力が増していく
冒頭の方は、単語を目で流すような感じで、この話って面白いのかな?という雰囲気で読んでいました。なぜ、今さら冷戦時代の話を描いているのだろう?という疑問のようなものもありました。ヤナーチェックの音楽の表現が、どこか時代の暗さのようなものを感じさせながら、重苦しい感じにストーリーが流れて行きます。舞台は東京、春から初夏へ向かう爽やかな季節の話を描いているのに、東欧、満州、サハリン、安保闘争といった表現があるせいか、冬のような寒さを感じます。どこか現実離れした出来事が、夢の中の世界のように思えます。それが作者の狙いでもあるのかもしれません。そして、夢を見ている時に、このまま目を覚ましてしまうと話が中途半端になってしまうので起きるわけにはいかない…と、夢の続きを見ようとするように、読者はBook 2を読んでみようと思うのでした。