少年犯罪について考えさせられる傑作
貫井徳郎の新たな挑戦私は貫井徳郎の作品をデビュー作から読み続けていますが、この作品ほど涙を流した作品は他にありません。性を問わず年齢を問わず、どんな人にも響くような強い強いメッセージを持った重厚な小説はと問われれば、真っ先に本作『空白の叫び』を思い浮かべるでしょう。貫井徳郎は、「ミステリー作家」と一言でまとめるにはあまりにバラエティに富んだ作品を生み出してきました。『被害者は誰?』などの本格ミステリーや、どこにでもいる夫婦間の闇を描いた『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』、その他「症候群シリーズ」「明詞シリーズ」など、本当に同じ作家かと疑問に思うほど多くのジャンルの物語を書ける作家であることは既に多くのファンに知られています。その中でも特に、デビュー作『慟哭』や『夜想』など、犯罪被害者をメインにその家族がどのような闇に堕ちてゆくのかをリアリティーたっぷりに描き切る作品は、貫井徳郎の力量が...この感想を読む
4.54.5
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