どこまでが物語で、どこまでが真実?
有名作家数人の短編集が収録されている企画本で本作を読んだのですが、他のどの作品よりも飛び抜けていたと思います。その後、たまたま本屋を訪れた際、サイドストーリー?続編?が追加された単行本が出ていたので迷わず購入。
元々、有川浩先生の作品は、キャラクターの感情が丁寧で分かりやすく描写されていて、キャラクターへの感情移入や情景の想像がしやすく、かなり早い段階でストーリー内に引き込まれてしまうのですが、本作ではそのスピードがずば抜けていました。登場人物が少なく、会話ベースの表現が多かったのも1つの要因かもしれません。
もし突然、生涯の伴侶(夫であれば妻、妻であれば夫)の難病が発覚し、余命宣告をされたら、どうしますか?"最強の二人"であるこの夫婦の強い愛情から出る、それぞれの言動に、いちいち心をわし掴みされました。今まで通りを装っていても、神経が過敏になっているので些細なことで感情が爆発してしまう。。。残される方は、あーしておけば良かった、こーしておけば良かった、という後悔や未練。逝ってしまう方は、伴侶のために出来る限りのものを残そうとする心遣い。読後は、自分の周りにいる大切な人たちに、感謝の気持ちを伝えたくなりました。
どこまでが物語でどこまでが真実なのか。真実だとしたら、この2つのストーリーがどこでどう交差しているのか、それとも前後になっているのか、私の中で自信をもった結果を出すことが出来ませんでしたので、読んだ他の方たちの見解が気になります。ストーリーの構成からか、乾くるみ先生のイニシエーション・ラブを思い出したので、本作も再読してみようと思っています。
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