八日目の蝉の評価
八日目の蝉についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が6件掲載中です。
各項目の評価分布
八日目の蝉の感想
被害者視点で読む、本作の魅力
倒叙小説としての面白さ本作は、『紙の月』『対岸の彼女』など多くの作品が映像化されるなど、今や人気作家としての地位を確固たるものとした角田光代の作品です。映画化もされた『八日目の蝉』は、そのショッキングな内容から世代性別問わず多くの反響を産みました。この作品は大きく二つに分けられており、前半は不倫相手の子供を誘拐して自分の子供として育てる希和子の視点。後半は幼少時代を誘拐されて育った薫(恵理菜)の視点で描かれています。このように、犯人の視点で描かれる小説は「倒叙小説」と呼ばれ、東野圭吾の『殺人の門』や『容疑者Xの献身』などが有名です。フーダニット(誰がやったか)ではなく、ホワイダニット(なぜやったか)に焦点が当たるため、読者の共感が犯人に向かうことが多いのが特徴です。本作でも、悪人であるはずの希和子がいかに薫を慈しんで育てていたかが詳細に描かれているため、希和子と薫を引き離す警察が悪人に見...この感想を読む