吾輩は猫であるの評価
吾輩は猫であるについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
吾輩は猫であるの感想
饒舌なおちゃらけの中に見える学識
言わずと知れた漱石の代表作の一つです。この冒頭の一文となるタイトルが知られてる割には、実際に全部読もうとすると、結構難しい個所もあります。分厚い長編で、全体に落語のような話から、文学、科学、逸話、怪談、豆知識、現実でのご近所の争いなど全編にわたって多彩な材料が詰まっています。「江戸味が残っている」という風に江戸の戯作を味わいを感じさせる場面もありますし、一種のドタバタ喜劇のような場面もあります。そういう個所は読みやすいでしょうが、なかなか一般的な知識では読みにくい所もあります。これは一流の趣味人でありながら、学者でもあった漱石が自身の教養を注ぎ込んで作品を仕上げているためで、その分ハイレベルになっている個所もあるわけです。分量もあって幼い子供にはちょっと難しい面もあるかもしれません。