ナミヤ雑貨店の奇蹟の感想一覧
東野 圭吾による小説「ナミヤ雑貨店の奇蹟」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
ほんわか
「奇跡」ではなくて、「奇蹟」を使っているところがいいですね。タイトルから、想像するに、小さなふるーい雑貨屋の話かと思っていました。でも内容はまったく違いました。十数年の時をまたにかける時空のファンタジーでした。赤いポストから入れた人々の相談に対して、なぜか牛乳箱から返事が返ってきます。話が飛んだりして、ボク的にはわかりにくい場面もありましたが、面白い作品でした。この作品を読んでいて、「真剣に怒ってくれる人って大事だなー」と感じました。なんかホンワカしました。自分ならまっさらな地図に何を書くのか。想像しただけでもワクワクします。「なんのことかわからない」って?読んでみたら、わかると思います。
奇蹟ってあるかも。
ナミヤ雑貨店、という店名自体がもう奇跡の始まりなのだろうと思います。あ、奇蹟か。こういう店名じゃなければ、浪矢氏も悩み相談を受けることはなかったのでしょうし。本作ではちょっと特殊な相談方法・回答方法とはいえ、悩みは誰しもあるものであって。できれば解決に向かいたいものですよね。SFというかファンタジーの要素が入りつつも、こうして顔が見えないけれどその悩みやメッセージのやり取りをしているのは、現代で言うところのネットの掲示板などに少し通じるものがあるような気がします。で、そのSFの要素が、この作品をガンガン読み進めたくさせるのです。出てくる人物たちの人生は様々。絶対誰とも関わってない人なんていない。そんな関係性も、読んでいて楽しいポイントの一つです。面白い小説読んだー! って読後感。幸せです。
生きることを大切に思うミステリー
夏に帰省していた、ロンドンオリンピックの直前に、この小説を読みました。オリンピック開会式にポールマッカートニーが登場した時には、このストーリーの感動がよみがえってきました。作者、東野圭吾は、出版の時期を計算してこの話を描いたのでしょうか?このストーリーには時空を超えたファンタジーが存在します。オリンピックを目指す者、ミュージシャンを目指す者、人は様々なものを目指し努力をしますが、その目指す思いが強ければ強いほど、壁にぶち当たった時の苦しみも大きいものです。人は悩みながらも生きなくてはいけない、一生懸命生きなければならない、そして一人で生きているのではない、そんなことを前向きに認識できるストーリーになっています。東日本大震災で、閉塞感を抱いている中、この小説は、生きることの尊さを示しいるように思いました。
ファンタジーです。
物語は3人のチンピラたちが、たまり場である廃屋から始まる。過去と未来を結んでいる、時間の流れが変わった不思議なお店「ナミヤ雑貨店」。まだ店主さんが雑貨店を営業していた頃にその名前にちなんで始まったナヤミ相談。時空を超えて届くナヤミ相談に3人。最初は動揺していたけど、だんだんその悩みについてもまじめに向き合うようになり、返事を返していくようになるんです。前まではただのチンピラに等しかったのに、ちゃんと向き合って真剣に考えてくれるようになったのをみて、心の成長を感じました。でも必死に考えて書いた返事とは全く逆の行動を取ってしまう相談者もいて、気が気じゃない感満載になったり、知らず知らずのうちに返事を書くことにやりがいや楽しさを感じてきた感も伝わってきました。悩みを解決してあげることができたらお互いすっきりしますもんね。ファンタジー仕立ての人情話だけど、話の展開ちょっと強引すぎるところも・・・...この感想を読む