禁断の魔術の評価
禁断の魔術についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
禁断の魔術の感想
人気シリーズのノリで手に取るも、読後は考えさせられた一作
ある意味、予想を裏切られた作品「禁断の魔術」は、三百ページに満たないやや短めの長編だ。発売当時、人気のガリレオシリーズの最新刊ということもあり、気楽な気持ちで私は読み始めた。だが、ドラマのイメージのように、難解な謎を主人公である科学者が鮮やかに解いてみせ、一件落着、気分スッキリーーという期待はある意味裏切られてしまった。予想以上に人物描写が複雑だったのだ。出てくるキャラクターは、このページ数で描ききれるのだろうか、と読者ながらに思えるほど年代も主義もバラバラで、しかも説得力ある動機を抱えている。さらに、それを見つめる主人公、湯川のスタンスは、極めて個人的思考によるものであり、一般的な善悪とは一線を画しているのだ。実際にこんな人物が身近にいたら、賛否両論を巻き起こすことは必至だろう。だが、その考え方にも一貫性があり、湯川博士という人物なら、さもありなんと感じさせる。犯罪と正義のグレーゾー...この感想を読む