道徳という名の少年の評価
道徳という名の少年についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
道徳という名の少年の感想
容貌という遺伝の骨頂
この作品は、桜庭さんの「少女七竃と七人の可哀想な男たち」と相通ずるものがある。「容貌における美」を一つのテーマとする。妖艶で魅惑的な美。七竃の方はそのかんばせの美しさと淡白で無関心な内面とを対比させて物語を展開させているように感じたが、この作品では端的に美と醜悪を対比させているのである。美しく生まれたものは決まって、ある時から身動きが取れないほど太り、目も当てられない容貌となる。その意味するものとは諸行無常、また天は二物を与えず、といったところだろうか。ジャングリンよりもジャングリン・パパを求めた主人公からも、容貌の美しさを単なる長所の一つとして描いていないことが見て取れる。また、バターの溶けたような黄色い目、という表現は醜悪を率直に表している。しかしその目が表すのは醜悪だけではないと思われる。美しい容貌と同じくその目も決まって遺伝されていくものとして描かれており、それはまさに逃れられ...この感想を読む