すごいぞ全盛期手塚! SF性、メッセージ性の両立
良作にうんちくはいらない!1965年から約一年間連載した本作、産業スパイの存在が疑われる事件などいろいろあったようだがここではそれには触れない。背景がどうあれ、本作は単純に面白いからだ。それぞれの作品にいろいろなうんちくがあるだろうが、良作に対してはまず細かいうんちくよりも作品性を語るべきだろう。手塚はこの時期以降は青年誌にも多数の作品を書いており大人向けの作品も多いが、本作は明確に子供がターゲットである。(むろん大人が読んでも面白い作品が多いことは言うまでもない)。W3はその「子供たち」に向けたメッセージ性と、話の骨子となるSF性をうまく両立させている。手塚は短編を数多く書いている。短編の場合、ページ数が少ないので当然アイデア勝負となり、その多彩さは周知の事実だ。とはいえ当然短い作品ではメッセージ性は低くワンアイデアの作品になりがちだ。一方メッセージ性を優先すると、話の展開が中心にな...この感想を読む
4.54.5
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