この石ころも何かの役に立っている。君だってきっと何かの役に立っているのさ。
イル・マット
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「映像の魔術師」フェリーニの初期の傑作である。のち幻惑的な作風で知られるフェリーニ監督だが、この作品はネオリアリズモに立脚した現実的な作品に仕上がっている。粗暴で傲慢な旅芸人のザンパノと、それにつき従う知性に遅れがみられるが子供のように純真なジェルソミーナの道中を描く。全体としては胸に沁み入るような悲劇となっている。私はジェルソミーナ役のジュリエッタ・マシーナが大好きなのだが、今回も素晴らしいはまり役で私を魅了した。ザンパノが犯した殺人のショックで精神に異常をきたしたジェルソミーナはあまりにも痛々しく、ラストのザンパノが自棄になったのちジェルソミーナの死を知り、夜の浜辺で泣き崩れるシーンには涙を流さずにはおれない。
フェデリコ・フェリーニ監督屈指の名作です。体に巻きつけた鎖を手を使わずに切るだけしか芸のないザンパノと、家族によって売り飛ばされたちょっと頭の弱い娘で、ザンパノと一緒に旅をしながら芸を手伝うジェルソミーナの物語。自分を邪険に扱うザンパノから何度も逃げ出そうとするジェルソミーナですが、結局ザンパノの元に戻ってしまいます。ところがザンパノといえば簡単にジェルソミーナを見捨ててしまう。報われないなぁ、ジェルソミーナ。ジェルソミーナの「あの人はわたしがいなくちゃダメなの」みたいな尽くし方はダメ男をダメにする一方なんだろうけど、当の本人はそこに気付かないんですよねぇ・・・
イル・マット
自分は何の役にも立たないと嘆くジェルソミーナを励ます言葉。