男の優しさは相手のためであり、女の優しさは自己愛だという残酷さを切ない恋物語の中で描いた 「ハッスル」
このロバート・アルドリッチ監督の「ハッスル」は、現代のロサンゼルスが舞台だ。ニコル(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、まぶしいブロンドの髪が波うつ、高級コールガール。恋人は、ロス警察特捜班のゲインズ刑事(バート・レイノルズ)だ。二人は同棲している。お互いに首ったけだ。ゲインズ刑事は、アイルランド移民の息子で、娼婦のニコルは、流れ者のパリジェンヌだ。男は一度結婚に失敗している。惚れきった女に、むろん商売から足を洗わせ、できれば正式に結婚したいのだけれど、それができない。しがない刑事の給料だけでは、贅沢が身に付いた女を、養えないと知っているからだ。女もまた、男に結婚を強引に求められたら、踏ん切りはついたかも知れない。だが、父親はレジスタンスで、爆弾を抱えて死んだ。そんな父に愛され、父を愛した彼女は、ゲインズの上に父のイメージを重ねる。「父さんも、あなたのように正しくて強い男だったの」。愛する人を二度と...この感想を読む
4.04.0
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