「地球へ」は日本漫画が商業主義に走る分岐点だった?
簡潔なのに内容たっぷり、ジョミーの30年を4巻で書ききった名作本作品は1977年から1980年、「月刊まんが少年」に連載された。内容は迫害され地球を追われたミュウタントたちが、故郷「地球」を目指す、というものだが、ここではこの作品がいろいろな意味で日本の漫画文化の変遷を表す要素が多い事に着目する。数十年を経ていまだ読まれているという点で、内容の面白さは言うまでもない事だが、第一項で考察したいのはその簡潔さだ。主人公の目覚め、成長、絶望的なダメージ、旅、そして最終決戦、と舞台や時間を移しつつ、その上対抗勢力側の視点も平行して書いているのに、読み味がよく、無駄やムラが全く無い。言い換えれば語りたいことが少しもブレていない。それゆえ、最終話まで一気読みできる長さなのに、ジョミーたちの30年を自分の事のように体験でき、そして素直に感動できるのだ。「あの設定どこ行ったんだっけ」とか「終わってみれ...この感想を読む
3.53.5
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