中国の失政時代と現在の繁栄とのつながりの再検証に最適です!
俳優 上川隆也を世に知らしめた作品です。上川さんの演技力が非常に素晴らしく惹きこまれることは間違いありません。
この作品の中で描かれる中国は、初期においては中国共産党による一党独裁体制下での統制経済にあった建国期の失政を描き、中期からは日中平和友好条約に基いて行われた経済援助の歴史を、松本家の製鉄に関わる者同士の絆を通して描いており、日中関係の近現代史を考察する資料として視聴するに値すると考えています。
このドラマで描かれる中国は、日本がアメリカをはじめとする資本主義経済圏の中で物質的にも文化的にも技術の上でも豊かになっていく一方、現在のような一国二制度を取らず社会主義経済圏にあった際の必ずしも豊かであるとは言えない部分を描いています。
ただし、物質的・文化的・技術面での豊かさとは別に、日中戦争によって切り裂かれた親子愛は複雑な形であれど成立すること、また現在ではほとんど語られることが無くなった日中戦争が生んだ「中国残留孤児」に関する資料としても貴重なドラマであると言えます。
もっとも、この作品が制作された当時の中国と現在の中国では大きく経済情勢が異なるものの、現在の中国の発展の礎とその経過を現在の日本人が理解するに相応しいドラマであると確信しています。
作品中の俳優陣の演技、作品の作り込みの素晴らしさに涙する場面も多いかと思われますが、戦後の日中関係を考察する機会として視聴することも忘れてはなりません。
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