大地の子のあらすじ・作品解説
「大地の子」は、山崎豊子によって書かれた小説である。1987年5月から1991年4月まで雑誌「文芸春秋」に掲載され、その後、NHKでテレビドラマ化されている。 松本勝男は満州にいる間に家族と離れ離れになり、人買いの手で様々なところを転々とし、苦労の挙句、自分の境遇などの記憶を全て喪失してしまう。また、売られそうになっているところを教師の陸徳志に助けられ、養子となり「陸一心」と名乗る。優秀な青年に成長した一心は、日本人であるという理由で、労働改造所に送られそこでも様々な辛酸をなめる。陸徳志の必死の嘆願で釈放された一心は日中共同のプロジェクトである、製鉄所チームの一員として働き出す。実の妹のあつ子を見つけ出したのもつかの間、あつ子は長年の過労で息を引き取る。時同じく、あつ子を探していた上海事務所長の松本耕次が、実父であることを知った一心は驚く。その後、日中で作り上げた製鉄所が完成した。日本帰国を促す耕次に、一心は、中国で生きることを決意するのだった。
大地の子の評価
大地の子の感想
中国と日本の歴史が分かる壮大なドラマ
いわゆる中国残留孤児をテーマにした物語で、テレビドラマ化されて、大ヒットしました。戦前のまだ貧しかった日本は、満州に活路を求め、開拓団として、多くの日本人を満州に送り出しました。満州で生まれた日本人である、陸一心(中国名)は、敗戦後、親兄弟と生き別れになり、中国で人買いに捕まって、ひどい環境でこき使われたり、大変な苦労をしますが、優しい教師である陸徳志に引き取られ、実の子供のように温かく育ててもらいます。優秀な学生に育った陸一心が、その後も、波乱万丈の人生を送ることになります。この物語は、中国に残留した日本人の人生だけでなく、中国の文化大革命の事なども、背景にあるので、中国の近代史の勉強にもなります。初めて読んだ時は、こんな事が本当にあったのかと驚いたものです。非常に重厚な歴史小説でもあり、感動的な一人の人生物語でもあり、本当に素晴らしい作品です。