両親の考え方が素敵です
西部開拓時代のアメリカを舞台にしたローラ一家シリーズの二作目です。ローラが生まれ育った大きな森に人が増えすぎたことをきっかけに、ローラのお父さんがさらに西の方へ移住することを決めたことから物語が始まります。そして、一家はインディアン居住地でもある大草原へと向かいました。そこは、森林の中とは気候風土が違って、おこり熱(マラリア)を媒介する蚊がいたり、冬が近づくと冷たく激しい風が吹き付けたり、大きな森に守られた生活とは比べ物にならない苦労があります。しかし、その厳しい環境でも、一家は互いに力を合わせ、また、隣人たちとも協力しながら、力強く生活を始めます。 この物語には、西部開拓時代のアメリカ人(白人)の考え方が色濃く反映されています。それは、激しいインディアン差別と憎しみです。インディアンを野蛮人と決めつけその文化を認めず、また、農耕を行わないことを理由に彼らの居住地を奪うことを当然のことと思っています。そして、彼らの報復を恐れています。そんな中、ローラの父親は、インディアンの生活を乱さなければ、共存できると考えているのです。それは、狩りの場などで、実際にインディアンと接したことで得られた考え方でした。偏見なしにその人柄を見るというこの考え方には、自分の日頃の行いを振り返らせてくれる力があります。 それ以外にも、子どもに愛情を伝えながらも甘やかさないところ、知識だけでなく礼儀や優しさを大切にするところ、どんな逆境でも前向きに生きようと考えるところ、互いに信じあっているところ、などなど、こういう親になりたいと思わせてくれる作品です。
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