芸術というものの奇跡をみる映画「大地のうた」 - 大地のうたの感想

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芸術というものの奇跡をみる映画「大地のうた」

4.54.5
映像
4.5
脚本
5.0
キャスト
4.5
音楽
4.5
演出
5.0

インドのある片田舎の貧しい一家の暮らしぶりを淡々と描いた、サタジット・レイ監督の「大地のうた」は、見事に結晶した"いのちの詩"とも言える素晴らしい作品です。

インドという異郷の風俗に目を見張りつつも、全く自分たちと変わらない人間の生き方を発見して、ある種の懐かしささえ感じてしまいます。

夢ばかり追って、生活力のない父、生活苦にイライラしながらも、家族への愛を失わない母、ブツブツ文句ばかり言っているお婆さん。

一方、幼い少年オプと、姉のドガは、大自然の中を飛び回ります。そんなある日、お婆さんが、老木が朽ち果てるように死んでいきます。それはまるで、大自然の中の当然の出来事のように、一つの命の終わりを描き、自然の非情さを表出します。

だがそれは、決して残酷な感じはありません。しかし、姉のドガの急な死は、そのあまりの若さ故に、人生の途中で断ち切られてしまったという感があり、死の無残さと、家族の悲しみが胸に迫ってきます。

人間と自然、そして命のかけがえのなさを描いて、この作品は素晴らしい普遍性を獲得したと思います。

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