チエのかわいさに脱帽
「婚前急行」はこんな作品
この作品は、友人の結婚に触発された主人公のチエが、五人の彼氏を査定していくストーリーです。
チエは五股をかけている側なので、一見してモテモテのように見えますが、ストーリーが進むにつれ、誰にもそんなに愛されていないことが分かってきます。
チエはワガママで狂暴で、全然かわいさのない性格をしていますが、その不器用さや寂しさは、女性の共感できる部分ではないかと思います。
最後にはハッピーエンドになるので、気分の落ち込んだ時には、見たくなるような作品でした。
ガーリーで可愛らしい世界観
見ていてまず惹かれたのは、ポップでガーリーな世界観でした。吉高さんの衣装や小物がいちいちかわいいですし、吉高さんがスクーターに乗っている姿もお洒落でかわいいと思いました。
出だしからそういった世界観を見せてくれるので、冒頭から好印象を持って、作品を視聴することができました。
チエが五股をかけている彼氏たちを、一人一人査定していく、というテーマも、少女マンガのような可愛らしさがあって、好感を持てました。
主演の吉高由里子さんも、なんともいえない可愛らしい雰囲気で、スタイルも抜群で素敵でした。
人物描写はかなりリアル
しかし、意外だったのは、可愛らしい世界観の反面、キャラクター達がリアルにエグかった所です。
キャストの皆さんは全員演技達者で、かつ演出脚本も、各々のキャラクターの人間性を、的確に描き出していたと思います。
それが上手すぎて、想像していたよりも、ずっとリアルな感じを受けました。
冒頭のガーリーさとは裏腹に、キャラクターの描写はかなり真に迫っていたと思います。
例えば、西尾に酔って絡んでいるときの、チエのネチネチした態度や、それを面倒がっている西尾の姿。
年上の彼氏が車の運転をミスして、「ちゃんと見てろよ!」となぜかチエに責任転嫁してくる子供っぽさ。(運転となると、人格が変わる、ということも描写している。)それを甘んじて受け入れるチエの、圧し殺した表情。
ミカを嫌っている、チエの機嫌の悪い態度。
登場人物のリアクションが、いちいち心に響くというか。「ああ分かる分かる」と共感できるシーンが多かったです。
チエに共感!
特に、主人公のチエには、良くも悪くも女性として共感できるようなシーンがいくつもありました。
チエはイライラしがちで、愚痴の捌け口をいつでも探しているような所があります。
年上の後輩への当たり方や、西尾にグチグチと酔って絡む姿は、良くない行動ですが、女性ならチエの気持ちは分かるはずです。
また、チエはこのように性格があまり良くないため、五人の恋人がいながら、誰にもそんなに愛されていません。
私には、そこがチエの寂しさであり、弱味というか、かわいいところに思えます。
おそらく男性から見れば、こんな浮気者の、ヒステリックで高慢ちきな女は、かわいいとは思えないのでしょうが…。
女性から見て、チエは可愛らしく、不器用で、共感できるようなキャラクターなのではないかと思います。
対して、石橋杏奈さんの演じたミカの、何ともいえない嫌な感じ。
チエはミカのことを、恋敵という理由だけでなく、いけ好かないと思っているのですが、そのチエの嫌悪感がすごく分かります。
バイト先で常連客にタメ口をきいて、親密そうにしている所とか。
髪型も適当で、服装も安物なのに、地顔の美しさと性格で、皆のアイドルになっている所とか。
絶対男性はミカのことが好きですよね。
でも私は、ちょっとあざといとか、嫉妬心もあるのか、ミカにはゾワゾワしてしまう。
不思議ですよね。ミカには、おかしな言動は全然無いのに。
多分、あの四人の飲み会で、私がチエだったら、同じように不機嫌な顔をしていたことでしょう。
私はちょっと擦れていて、不器用で寂しさを抱えている、チエの方が好感を持てますね。
ミカの女性に嫌われる女性の感じが絶妙で、すごくリアルだと思いました。
印象的だったキャスト
主演の吉高由里子さん以外で印象に残ったのは、やはり田無を演じた浜野謙太さんです。
強烈なルックスですよね。まさかチエの本命に残るとは思っていませんでした。
最初にチエが査定評をつけている際、田無だけがデメリットだらけという状態だったので、共演の加瀬亮さんとチエは結婚するのかと思っていました。
というか、いまだに田無の魅力が伝わってこないのですが…。
浜野さんといえば、テレビ東京系で放送されていた、「ノーコンキッド」というドラマで、オタクの少年を演じていました。
こちらは純粋で性格のいい人物だったのですが…。
しかし、婚前急行では一転して、本当にダメなヤツを演じています。
そのギャップもすごいと思いましたし、やはり不思議な存在感があるな、と思わされました。
最後の壁を突き破ってしまう、吉高さんとの立ち回りは迫力がありました。
留置場でのシーンなど、長いセリフも多かったですが、見事に演じきっていたと思います。
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