不景気の暗さをぶっ飛ばすパワー!
2000年代のドラマってお洒落でびっくりする
「ショムニファイナル」を視聴した感想です。
この作品は2002年放送と、10年以上前に製作された作品ながら、今見ても全く古くさくなく、面白く観ることができます。
オープニングからして、スタイリッシュでかっこよく、続編の「ショムニ2013」を圧倒しています。
各話のストーリーも、毎回起承転結がしっかりしており、所々に挟まれる伏線もきれいに回収され、非常にすっきりとして見易い作品だと思います。
また、現実と地続きの世界観なので、視聴者が「こんなストーリーあり得ないだろう」と怒り出さないような、最低限のラインはあると思います。
この作品は、マンガのような、荒唐無稽なストーリーではありますが、そこのラインは守っているのかな、と見ていて思いました。 (むしろ10年後に製作された、「ショムニ2013」の方が、その部分が怪しかったように思います。)
続編が製作されるとなると、「今期は前期よりもつまらなくなるのではないか?」と心配になりがちです。
しかし、「ショムニファイナル」では、第1話から、ぐっと視聴者の心を掴んでいきました。
坪井千夏の結婚式という、びっくりするようなシーンから物語はスタートし、思わずストーリーにのめり込んでしまいます。
このドラマが製作された、2000年代に話題となっていた、「企業合併」や「リストラ」、「不景気」などのテーマを盛り込みつつ、「ショムニ」らしいストーリーになっていたと思います。
いきなりコンドームを手渡してくる坪井千夏は、シリーズの1作目からキャラクターがぶれていないな、と思いました。
前回の放送から少し時間は経っていますが、それぞれのキャストの面々も、違和感なく演技をされていたと思います。
イキイキとしたキャストの好演
各キャラクターを演じるキャスト陣も、シーズン3だけあって、演じ慣れた貫禄のようなものが皆あり、安心して見ていられます。
皆ノリノリで、見ていて嬉しくなってしまいますね。
ショムニの面々は勿論、人事部や海外事業部、警備室から秘書課まで、キャストの皆さんはテンション高く演じていたと思います。
昨今に放送されたドラマだと、不倫ものやサスペンスものが多く、全編コメディをやりきっているものはあまりないので、こういう作品がそろそろ出てきてもいいのかな、と思います。
今はSNSの時代なので、これだけぶっ飛んだ内容だったら、すごく話題になると思うんですけどね。
ショムニの面白さは、ストーリーもあるのですが、やっぱり各キャラクターが生き生きとしている所だと思います。
特に今期は、秘書課の杉田さんこと戸田菜穂さんの演技が素晴らしかったです。
高飛車で自信過剰な反面、単純でかわいらしい所もある杉田美園は、坪井千夏の天敵でありながら、全く憎めないキャラクターになっていたと思います。
そうした性格がすごくコミカルなのに、秘書課ならではのお上品さもちゃんと出ていて、戸田さんの演技力の高さを感じました。
また、警備員の神谷真太郎演じる、沢村一樹さんのコミカルな演技も見逃せません。
今回は沢村さんだけのコメディカットも多数ありましたね。すごく面白かったです。
沢村さんだけでショムニのコメディの一要素になっていて、スタッフに愛されているな、と思いました。
キャストの方は、皆さん好演されていましたが、特に印象に残ったのはこの二人でした。
全員演技が達者というのも、豪華でいいですよね。
流行りの俳優やアイドルはいませんが、逆にこの作品からみんなスターになったんじゃないかと思います。
売れている人をキャスティングするのではなく、作品から売れている人を輩出する。
思えば昔のフジテレビのドラマには、そうした力強さがあったなあと思ってしまいました。
「ショムニ2013」は、なぜそれまでのショムニシリーズのように、好評になり得なかったのか。
それはやはり、主人公の坪井千夏のキャラクターが、ぶれてしまっていたからだと思います。
例えば、ショムニの席順は「いい女順」に座ることになっていますが、新キャラクターの小島美鈴の経験人数を聞いて、千夏がのけぞるシーンがあります。
そういう演出は、昔だったら無いだろうな、と見ていて思いました。
千夏のキャラクターの良い所は、「何があっても堂々としている」所だと思います。
それを引き立たせるようなストーリーや、周りのキャラクターの絡みが必要でした。
しかし、ショムニ2013では、そこがブレている演出があったのではないかと思います。
本来そこが作品のテイストに大きく関わってくるので、ブレさせてはいけなかったんですよね。
最終的にスカッとさせてくれる事を、ショムニシリーズには期待しているので、千夏の元気がないと、ちょっとガッカリしますよね。
ショムニファイナルでは、そうした部分はきちんと押さえれており、期待通りに作られているのかな、と思いました。
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