シリアスとギャグは紙一重
見出し1笑っちゃいけないけど
過酷な運命に翻弄されるヒロインに、彼女の行く手を塞ぐ黒幕、闘争心むき出しのライバルに、滝沢久美子さんの、あの独特のナレーションとなると、思い出すのはやっぱりあの『大映ドラマ』ですよね?サブタイトルも、『愛と憎しみの三重奏(テルツェット)」や「仕組まれた不協和音(ディスコード)」など、これって小さな子も見るんだよね?理解出来るのかな?と、思わず首をひねってしまうようなアニメでした。えり子の境遇を考えると、笑ってはもちろんいけないんですけど、絵とあまりにも違いすぎる内容に、ついつい笑ってしまいました。えり子を陥れる叔父で、タムラプロの社長の座を乗っ取る田村項介などは実写ドラマにも出て来そうですよね?あまりにもシリアスなシーンだと、一歩間違えればギャグになっちゃうんですね。後半に近付けば近付く程、内容はシリアスになるんですが、それと同時にギャグに見えて来てしまうのは私だけでしょうか?それに、えり子達キャラクターのデザインが内容よりも少し幼いですよね?あの内容だったらえり子の外見ももう少し大人っぽい方が良かったんじゃないのかな。何か、えり子の外見だけ見ていると、過酷な運命を歩いて行くような気はしないのです。どちらかというと外見だけだったら麗の方がヒロイン向きではないのかな?あの影のあるクールな眼差しと大人びた態度。彼女が主人公の方がストーリー的には合っていたと思います。
見出し2どっちかにして!
えり子のモデルとなったのは、当時売り出し中のアイドルだった田村英理子さんです。予告の前にあった『エリリンコーナー』では、彼女の初々しい姿が放送されて、人気も徐々に上がって行きました。が、なぜえり子の声は田村さんではなかったのでしょう?昔放送していた『クリィーミーマミ』では、デビューしたばかりの太田貴子さんがヒロインである森沢優と、変身後のクリィーミーマミを担当していたので、歌唱シーンに違和感はなかったのですが、『えり子』の場合、えり子を担当していたのは矢島晶子さんで、歌唱シーンだけ田村さんが担当されていました。これって凄い違和感を感じるんです。だってさっきまで話していた声と全然違うんですよ?これって見ている方からするとかなりテンションが下がってしまうんです。出来れば、田村さんか矢島さんかどちらかお一人とで演じられた方が良かったのではないかと思います。時代はバブル期で、今みたくアイドルが活躍している時代ではありませんでした。おそらくスタッフとしては、何とか田村さんにアイドルとして輝いて欲しかったのだと思います。でも、だからこそ田村さんにえり子を演じて欲しかったな。その方が見ている人も感情移入しやすかったのではないでしょうか。でも、私はどちらかというと矢島さんのあの可愛らしい声が好きです。出来れば彼女が歌唱シーンもしてくれたらな。と、思っています。
見出し3恋の要素は必要ですっ
『えり子』で物足りないと言えば、恋愛に絡む内容が少なかった事でしょうか?やっぱり過酷な運命に翻弄されるヒロインには、彼女を支えるヒーローが必要ですよね?唯一そのポジションに一番近かったのが洋ですが、あまり目立った活躍はしていなかった気がします。洋といえば、サックス片手に歌いまくるというシーンしか印象に残りませんでした。あれだけ外見が思わせぶりなのに、と残念に思えて仕方がありません。もし、『えり子』にもっと恋愛要素があったらもっと大映ドラマに近くなる気がしますが(笑)、それはそれでドラマティックな展開になったのではないでしょうか?えり子の外見が幼いせいか、あまり恋愛要素が感じられなかった事が本当にもったいないです。ただ過酷な運命に立ち向かうだけではない。そんなシーンがもう少しあった方がえり子の成長をアピール出来たんじゃないのかな?それに、あれだけ中盤から盛り上がったのに、最終回はかなりアッサリしたものでした。えり子があらためて歌う意味を見つけて、大勢の人達の前で歌うシーンは確かに良かったのですが、本当にこれで良いの?という気もします。あれだけ過酷な運命を歩かされたのにと思うと、何だか物足りないです。それに、えり子のライバルとして登場した朝霧麗もインパクトは薄かったかな。もっと二人の対決シーンとかあった方が見応えはあったと思います。それに、えり子と麗だけが芸能人じゃないんだから、もっといろんなライバルが居ても良いんじゃないかな?ライバルが麗だけというのはあまりにも寂しいじゃありませんか。様々なライバルに打ち勝ってこそ、真のアイドル伝説なのではないでしょうか?どこら辺が伝説だったのか、結局分からなかった気がします。ただ、あの時代で何か新しい試みをしようと考えていたスタッフの熱意だけは十分に感じられたし、見ている方も毎週繰り広げられるえり子への仕打ちにハラハラドキドキしたのは確かです。
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