究極の美しさとバイオレンスのアンバランスな融合。
バイオレンスと美しい石垣島の背景。
この映画を私はもう何回見た事でしょう。リリースされてから20年以上経ちますが、未だに一年に数回は見ますが、何度見ても飽きませんし、これからも飽きない、間違いなく生涯に渡って一番好きな映画と言っても過言ではありません。ギャングスタ、バイオレンスという映画のカテゴリーにはとてもおさまらない名作。
あらすじは、景気の良い縄張りを持っているヤクザの組を大親分が体よく乗っ取りを企み、腹心の部下を使って、そのヤクザの親分(北野武監督本人)が殺されて組を空中分解させる為、兄弟分の沖縄の抗争に向かわせるというもの。その裏には抗争する沖縄の組の親分との兄弟分の組を解散に追い込むという密約もありました。東京から沖縄、沖縄から石垣島へ身を隠し、沖縄の地で死闘を繰り返し、最後は自ら果ててしまう・・・。(この最後の部分がまたとても印象に残る名シーン。)
東京から沖縄に場所を移してから、特に石垣島に逃亡してからの後半は圧巻としかいいようがなく、ギャングスタ達の戦いと、その中での石垣島の海と風景の美しさのアンバランスさが絶秒な映画の雰囲気を作っていて、言葉に尽くせない。この石垣島の映画のロケ地を探し当て、数年前に実際に行きましたが、今も撮影当時の風景が残っていました。(このロケ地を訪れた時の、あれほど感動した事はそうはありませんでした。
ありきたりなギャングスタの映画の枠では収まらない。
北野監督作品というと、残忍なバイオレンスが浮かぶと思いますが、冒頭にも書きましたが、北野作品はそれだけではなく、とても奥深いところがあるのが魅力。本当によくあるギャングスタの映画とは明らかに一線を置いていて、北野監督にしか作れない唯一無二のギャングスタ映画が殆どですが、これはその中でも最高傑作だと思います。美しい石垣島の風景の中で、美しい海、沢山のハイビスカスを背景に、のんびりとした空間の中で、抗争の末に殺されていくギャングスタ達。北野監督以外の誰がこんなシチュエーションを考えられるでしょうか?
それに久石譲さんのBGMがさらにそのアンバランスさの中の融合をさらに際立たせています。一度聴いたら、映画の風景、場面と共に音楽が鳴りやみません。
北野監督の独特な感覚と映画監督としての天性が際立っている。
また、当時無名だった多くの俳優さんたちが、この映画から有名になりました。大杉連さん(のちに彼が最も好きな映画の一つに挙げられていて、激しく納得しました。)、勝村政信さん、寺島進さん、今や本当に力量のある実力演技派の大物俳優達です。その誰もが北野監督作品に出演できた事が大きな転機となったと後に語られています。一人一人の出演者の個性、演技が際立っていましたが、それを引き出しのは北野監督である事は間違いありません。
北野武監督は天才です。
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