人間は誰しも完璧ではない
裁判員制度の難しさを、この作品以上に的確に解りやすく描いている作品を知らない。 評決は12人全員一致でないと提出できないのだが、11人が有罪であると判断する中、1人だけ無罪であると主張する。この場合における無罪というのは、被疑者の17歳の少年が罪を犯していない、とするものではなく、判断できない、という意味だ。もしかしたら罪を犯しているかもしれないし、犯していないかもしれない、しかしどちらにせよ、今法廷で聞いてきた話や提出された証拠、証人の話では、疑問の余地が残る、よってもう一度法定で議論する必要がある、というものだ。 日本とアメリカでは裁判の仕組みが違うが、裁判員の判断によって一人の人間の人生が決まるのは同じだ。そのことを深く考えさせてくれる。 一幕劇としても、弁論が戦う劇としても、一見の価値はある。派手なアクションシーはなくても思わず引き込まれて、あたかも自分も同じ部屋にいる錯覚に陥る。途中で降る雨の演出が素晴らしい作品だ。
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