装甲騎兵ボトムズとは何だったのか
声優、銀河万丈が語る次回予告に中毒性があった
子供に一切迎合しない難しい漢字や難しい言葉遣いがかっこよかった。
ちいさかったけれど非常に文学的な表現で語っているのだと感じた。
予告内容を完全に理解できているわけではなかったけれども、わからないながらも次回も見るんだという動機付けになっていて、楽しみが増していた。
主人公が無口で行動のみで表現されていたのを補って余りある存在感あるナレーションだった。
意味ありげな簡潔な漢字の毎週の予告に惹きつけられて次回をすっごく楽しみにしていた。
銀河万丈さんのファーストガンダムでの名演説は一回だけだったけれども、ボトムズでは毎週たっぷりあの名口調が楽しめた。
無口なキリコがひたすら戦う姿だけで30分見れた
ヒーロ-というより戦場でサバイバルする戦士というものは実際にはおしゃべりではないんだろうと子供心にも想像させてくれた。
つまらない体制側からの「悪を懲らしめる」ではなくて、反対側から描く物語だから魅力があるのだろう。
無機質で無表情な兵器である「ロボット」に乗り込んで、淡々とひたすら戦う姿に紛争地域のリアル、戦闘というものを機械音痴にでも想像させてくれた。
ライバルのイプシロンが美形なのは重要
主人公キリコの見た目がいまいちだったので、美形でかっこいいイプシロンはポイント高かった。
寡黙でも存在感は抜群でも、無口でリアルな戦士のキリコだけではアニメに、絵に、華がないのをイプシロンが非常に補ってくれてました。目で楽しむイプシロン。
やっぱり、星飛雄馬のライバルに花形満がいると盛り上がるのです。
ぐだぐだなアムロが主人公でも、美形のシャア少佐がいることでアムロが引き立っていましたから。
主人公のライバルには薄っぺらではない存在感のある美形がいるアニメは盛り上がるのです。
ストーリーの上の部分
1980年代前半にリアルタイムで見ていた時は、キリコの日々の目先の戦闘や仲間たちとの関係だけで見ていた。というか、子供に理解できるレベルでしか見ることができませんでした。
当時クラスの女子とはボトムズのことは語れませんでしたね。男子ともメカにさほど興味ないのでロボット談義もしなかったし。
ボトムズは、孤独でひたすら大義が見えないまま戦闘している中に、何か哲学的なものが存在している、この物語には何か奥深さがある、何だろう、見つけたいと思って見ていました。
最終話へ向かうにつれて。「異能者」だの「神(ワイズマン)」だの出てきて、あまりストーリーの上の部分、キリコがそもそも存在する核になる物語は子供が一度見て理解できるようなものではなかったけれども、なんだかやっぱり凄いものがあった。
最後まで徹底して子供に全く迎合しないまま終わったテレビアニメ。だからこそ30年余りたった今でも見直す価値のある物語、新たなる発見がある物語として生き続けているのでしょう。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)