ファンタジーラブの「Wish」感動の全四巻
CLAMP「Wish」とは
「Wish」はCLAMPの作品でら猫井みっく(現在は猫井椿)さんが作画を担当いたしました。(CLAMPは四人の女性からなる女性漫画家のグループで、もう一人の作画担当はもこなさんです。)
1995年11月号から1998年7月号まで連載された作品で、完結しています。
単行本だと四巻なので、中編というか、割りと短い作品と言えるでしょう。
天使、悪魔、魔法的な力の法願、天界、人間界、地界と、とにかくファンタジー要素が盛りだくさんです。
作品は世紀末ものではないですが、時代的には世紀末ですね。
ですが、純愛ものでもあります。
主人公たちとその周りの恋愛事情が絡まった、ファンタジーラブストーリーです。
賛否両論別れる衝撃のラスト
いきなりラストのネタバレになる前に、少し作品概要を記します。
医者の栩堂 琇一郎(くどうしゅういちろう)は、病院の勤務帰りのある夜、カラスに襲われていた琥珀という名の天使を助け出します。
琥珀は地上では日が暮れてしまうと、小さな姿になってしまうのです!(二頭身のマスコットのような姿です)
助けてもらったお礼にと琥珀は、琇一郎の願いを叶えることにし、彼の家に居候をすることにします。
人間と天使の共同生活、「一人では叶えられない願い」、「心」をテーマにともに惹かれ合うという純愛ものなのですが、衝撃の結末が二人を待ち受けています。
ここからがラストのネタバレです。
なんと琇一郎さん、死んでしまいます。
お互いに想い合う心を理解し、完全に通じるまさかその前に、時すでに遅しとはこのことです。
これはバッドエンドでそのあとの琥珀が本当に可哀想なのですが、なんと100年後に琇一郎が転生してくるので、法願を使って100年の眠りについて彼が再び戻ってくるのを待つ事にしたのです!
そして、100年後に琇一郎さんが宗一郎くんに転生し、二人は出会い、ハッピーエンドとなります。
賛否両論出るのは
「生まれ変わった人間は別人ではないのか」
という点です。
「好きな作品だけど、このラストは納得できない」
という意見もわかります。
けれど、この作品は「心」をテーマにしているので、たとえ生まれ変わっても「心」は同じと天使である琥珀は分かったというのがポイントでしょうね。
納得いくいかないは分かれるところですが、筋は通っていると思います。
相手の心、魂に惹かれまた愛するのです……琥珀と宗一郎くんがまた「一人では叶えられない願い」ができるよう、心が通じ合える時が来るといいなとそう、他人の、しかも漫画の中のキャラクターなのに良かったねって感じます。
この二人の「心」の純愛、完結から20年近く経ったいまにどう感じるのか再発見ができます。
CLAMさんの作品ではなくしかも漫画ではない長編アニメ映画ですが、2016年に上映された「君の名は」が記録的な大ヒットを致しました。
全然話は違うのですが、少し「Wish」を思い出しました。
この作品に限ったことではないですが、いま、女性も男性も涙したり、心から相手が結ばれることに対して良かったねって思えることは現代人に必要なことだと思います。
時々無性に読みたくなる、そんな記憶に残る作品「Wish」
わたしはこの漫画を小学生の時に初めて読みました。
つまり、連載ではないですが単行本でリアルタイムで読んでいました。
猫井みっくさんの美しい絵に感動しました。
天使の絵が綺麗。
無駄な線がなく、全体的にしろい印象を感じます。
天使の琥珀や翡翠は美しく、琇一郎や黒曜は厳つくてカッコ良いです。
壮大な設定の中に日常的な純愛ストーリーや、生き生きとして立っているサブキャラクターたちがよりその世界に彩りを与えます。
CLAMさんの作品は全体的にそうなのですが、サブキャラクターたちにもドラマがあるので、より一層世界にリアリティを感じさせ、それがメインキャラクターを霞ませるどころか引き立たせます。
わたしは翡翠さまが好きでした。
少々、小学生には難しい設定もありましたが(天使と悪魔に性別がない点とか、食べられたというのが理解できなかったです。)、天使と悪魔が駆け落ちて人間界に来たという設定もドラマティックです。
翡翠も悪魔の黒曜と恋愛していることから、琥珀の心に気づかせてあげるための大事なパーソンです。
ファンとしては琇一郎と黒曜がなぜ似ていたかのが未だに残る疑問のようです。
このフラグが回収される日は来るのでしょうか。
たまたま似てる人間(この場合は人間と悪魔ではあるけれど)がいるという事は普通に現実でもあることなので、特別なことはないのかもしれません。
全四巻という非常に一気読みするにはすっきりと読みやすく、それでも壮大な設定に純愛、衝撃、ハッピーエンドだけど疑問も残るラスト、そんな風に人の「心」を動かせる作品であるWishは、時々無性に読みたくなり、好きな漫画はと聞かれて脳裏に未だに思い浮かぶ名作です。
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