平安恋愛事情
原作はコバルト文庫
コバルト文庫から読書好きになる女の子は数多くいるのではないでしょうか。この作品の原作は氷室冴子。数多くの作品が、女の子が胸きゅんする青春物語です。この作品は平安時代の貴族の姫君の結婚にまつわる恋愛物語ですが、事件を解決していく謎解きミステリー要素もあり 、そこから平安時代の貴族の生活習慣や様式、現代とは異なる恋愛事情などがコミカルに描かれ、単なる恋愛物語だけで終わらない面白さがあります。漫画から入るも良し、原作から入るも良し、どちらからでも楽しめます。また、この作品から歴史に興味が湧き源氏物語を読んでみようと思えました。
原作の世界観を裏切りません
原作が小説の場合の映像化は賛否問われるところですが、この作品は成功しているのでは無いでしょうか。原作から入った私は、最初は粗野でお転婆娘な姫君のザンバラ髪に愕然とし、他の美しく可愛く描かれている姫君達との差にショックを受けました。けれど、そんなことは巻が進むうちに全く気にならなくなりました。色々な事件を解決し、殿方に次々と求愛されていく中でどんどん綺麗になっていくのは漫画ならではです。漫画にはありがちですが一巻と最終巻の画力の差も嬉しい変化に思えます。また、女好きで浮気な帝や、実直で真面目な許嫁、寡黙な従者や、謎の僧侶と、個性的かつ魅力的なイケメン達も原作のイメージ通りにビジュアル化されており、推しメンは誰か考えながら読む楽しみもあります。漫画化が決まり連載が始まった当初、原作者の氷室冴子さんと漫画家の山内直美さんが対談をされていたのを読んだことがあります。どちらも作品を愛し、お互いを尊重しながら作品作りをしている、だからこその名作だと思います。
謎解き恋愛物語
魅力的なイケメン達に次々と求愛されていく姫君の成長物語ですが、最も楽しめるのは何と言っても帝を巡る陰謀を解決していくミステリー要素です。現代とは違う生活様式をうかがい知りつつ、シビアで非情な政治の世界が、姫君と幼なじみの初恋の君を翻弄していくさまは、涙無しでは読めません。貴族の姫君の夜遊びから始まるコミカルな物語が、政治的な陰謀を絡めて思わぬ展開で進んで行きます。恋愛物語に欠かせない切ないエピソード、過去と現在を結ぶ様々な伏線がミステリー要素を盛り上げます。色々なイケメン達に出会いつつ事件が解決した後に、疲れ切り養生している姫君の元に最後に現れるのは・・・。ラスト、物語の最初から最後まで変わることなく姫君を見守り続けた幼なじみに胸きゅんですよ〜。
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