期待をはるかに超える良作! - 未来警察ウラシマンの感想

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未来警察ウラシマン

4.504.50
映像
3.50
ストーリー
4.75
キャラクター
4.50
声優
4.25
音楽
4.00
感想数
2
観た人
3

期待をはるかに超える良作!

4.04.0
映像
3.5
ストーリー
4.5
キャラクター
4.0
声優
4.0
音楽
3.0

目次

期待しなかったスタート

1983年のタツノコ作品。この前年、同社はタイムボカンシリーズの分岐点ともいえる逆転イッパツマンを制作している。イッパツマンはマンネリ化、ファン離れがささやかれていたタイムボカンシリーズに新風を吹き込み、人気、視聴率ともに見事に蘇っている。

スタッフはかぶっていないがタツノコプロ全体としても気運が上がっていたことだろう。

そこで本作である。

正直リアルタイムで見た私は、開始時にはほとんど期待していなかった。

タイトルからしてウラシマ効果を題材にしたモノであろうとは想像がつくが、絵柄がコメディっぽかったこととタイトルのダサさから、何となくタイムスリップは扱うものの深い内容はあるまい、と油断していた。ところが、予想は良い方向に外れる。 

 

中盤くらいまでは予想通りの娯楽アクションものという展開だったが、フューラーの謎や敵役のかっこよさなどが徐々に際立ってくると俄然面白くなる。

適役は何と言ってもルードヴィッヒだろう。塩沢兼人のクールな声は登場当初から渋くはあったが存在感を増すのはやはり中盤以降だ。フューラーを追いやって頂点に立つ野心を明らかにし、着実に行動していきながらも「悪の美学」などを語り、死ぬことも恐れていない。経済至上主義の現代では死を恐れず美学を追求する適役などは存在しない。このキャラは現実の死が最も遠かったバブル時代でこそ描けたのかもしれない。ルードヴィッヒに従うスティンガー部隊もかなりかっこいい。ついつい記憶が混乱して「スティッキーフィンガーズ」と言ってしまうが、それはジョジョのスタンド名(汗)、何にしてもウルフとキャットがかなりイケてる。

主役側もクロードがバトルプロテクターを身に着けるようになると戦闘ヴァリエーションンも増え、楽しめる要素が増す。

ヒロインソフィアも格別な美人ではないが敵方のミレーヌとスティンガーキャットが大人っぽいので思い切りよくかわいいキャラに振っている点もバランスが良い。 

軽いノリを残したまま、しかしシリアスな展開

番組開始当初からリュウの超能力がどこかで開花することを示唆していたが、なかなか登場することなく伏線倒れに終わるのか、と中盤では誰もが思っただろう。しかし考えようによっては本当にあるのかわからない「超能力を持つ時間旅行者」という図式で後半まで引っ張る見せ方は見事でもある。「超能力研究所」などの名称は何度も出るが、安易にリュウをエスパーにしない作り方はある意味巧妙だ。深く考えない行動派キャラを貫いていたリュウが終盤のフューラーやルードヴィッヒたちとの闘いを経て複雑な心境に陥る点にも自然に感情移入できる。ソフィアの予知能力と宇宙から帰還したフューラーがコスモパワーを身に着けて帰還、などはちょっと唐突感があるが、それ以外はどの展開もスムーズかつ見事だ。

この時期バブル時代でもあったせいか、軽いノリのキャラクターがアニメ界に蔓延していた。同じ年に放送された超時空世紀オーガスはキャラの軽さとストーリーが上手くかみ合わず、同人誌にはもてはやされるもあえなく打ち切りの道をたどってしまったが、本作はそれを上手にこなした。

 

予測つかないっぽいラスト→でも予定調和、え?これ予定調和?

前半の軽いノリからは予想もつかない40話以降、マグナポリス、フューラー、ルードヴィッヒ一派の三すくみが続く。次回予告でも「ラストまであと○本!」と毎回カウントダウンするのもエンディングに自信があっての演出だろう。

48話のルードヴィッヒの死はある意味予想通りと思ったが、これが最終話の予想外を生む伏線だった、という展開は驚きだ。ネクライムを全滅させて用無しになったかと思われた38分署が実は生きていたルードヴィッヒたちと戦うため存続できる、という一件今まで通りの予定調和、ちゃんちゃん、というラストに見える。居場所をなくして旅に出る決意をするリュウがやっぱり今までの居場所で頑張る、という流れはかなりアリガチだし、ここまでの軽い流れと比較して違和感がない。

しかし冷静に考えると、死んだと思っていた悪の総統が生きていてホッとする、って他にはない展開ではないだろうか。ネクライムが滅んでも他にも犯罪はあるんだ、ネオトキオの為に頑張るぜ、的な展開が最も順当と思われるが、地球はおろか宇宙さえも消し去ってしまうかもしれないスーパー兵器を有していたルードヴィッヒが生還したのにハッピーエンディング、これはアニメに寄らずあらゆる創作作品で類を見ない。

そして視聴者にとっても彼ら適役があまりにも魅力的だったため、「良かった」と思わせるラストなのだ。番組開始当初にここまでの良作になると誰が予想しただろう。

難点をあげるとすれば挿入歌が多く、バブル時代の奇妙に明るい雰囲気満載で今はちょっと乗り切れない、という点だろうか。挿入歌以前にオープニングのミッドナイトサブマリンってなんやねん、とかちょっとツッコミたくはなる。エンディングもいかにも子供向けっぽくて今見るにはちょっと辛い。

 

 

 

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他のレビュアーの感想・評価

悪の美学

悪の美学主人公よりも、脇役に色気のある作品だとおもいました。ルードヴィッヒ様にスティンガー部隊のウルフおもいだすだけて心が震えます。このころはアニメのBGM集がよくでていてウラシマンは3つまででていた記憶があります。もちろん一番良く聞いたのは、ルードヴィッヒ様のテーマ曲、歌詞覚えるまで、それこそLPがすり切れるほど聞きました。テレビでもその歌をバックにルードヴィッヒ様がただ馬に乗って走るだけ(回想シーンも多少はさむ)のシーンがあり、はっきりいってミュージカルとか好きじゃないので、こんな歌流すだけのシーンなんて他のアニメだったら、うわ…つまんない・・・・となるところですが、ウラシマンでは魅入って、効き惚れてため息までもれました。こんだけ魅力のあった悪役は他ないないとおもいます。声もよかったです、あの塩沢さんの冷たくて色気のある声…早世されてしまってほんとうに惜しい方を無くしたと思いました。あの...この感想を読む

5.05.0
  • ゆーりゆーり
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