芸能人同士の苦労の末のハッピーエンドが嬉しい漫画
女の子の憧れのシチュエーションでの恋愛を満喫できる
美人で性格も明るい売れっ子芸能人と、演出・監督をしている美形の男子との恋愛という、平凡な女の子には非日常の夢のような恋愛シチュエーションを楽しめる作品である。
読み進めるうちに冷静になると、映画監督を高校生がやり、大物の中年俳優を起用して映画を撮るという設定はやや無理がありすぎる気がしなくもないが、そこは疑問に思わなければ、熊谷一哉という一人の天才監督の才能を際立たせる設定ということになりうるのかもしれない。
ちなみに大掛かりなアクションシーンなども、大人の助力生えているとはいえ、全国配給クラスの映画を高校生だけで監督・演出・撮影もしている点は、やはり違和感がぬぐいきれない。大人が読むとツッコミどころはかなりあるのだが、小学生や中学生が読むには、「高校生」という大人の入り口のような年代の、青春の輝き真っ只中の少年少女の活躍や恋愛が、とてもまぶしく感じられるのかもしれない。
彼女目線から彼目線の展開がユニーク
ハンサムな彼女は、主役は萩原未央という高校生の女優である。近所の年上の幼馴染への恋、失恋、そして第一印象が最悪だった熊谷一哉との恋愛に至るまで、少女漫画らしくあくまで未央の視点で描かれている。しかし、彼女たちが両想いになってから、彼氏である一哉の視点で物語が展開していくことも多くなり、少女漫画としては終始女性目線で語られがちな気持ちが男性目線で語られるというユニークな手法がとられている。そのため、クールでつかみどころがない熊谷一哉にも人間らしい嫉妬などの感情があることが読み手に伝わり、一層キャラクターの魅力を感じられる構成になっている。
失恋からは立ち直れるというメッセージ
ハンサムな彼女では、登場人物の失恋がかなり多く描かれている。主人公未央は幼馴染の輝ちゃんにフラれ、友人彩は一哉にフラれ、輝ちゃんは最終的には両想いになるが一度は彩にフラれる。同級生の端役の役者ケンジや、アイドルスター水谷篤紀、撮影のプロ可児修も未央にフラれるという失恋のオンパレードである。しかし、ケンジ以外は次の恋愛対象がほぼ見つかっており、失恋の傷はいずれ癒えるし、別れたからこそ新しい出会いに恵まれるのだということを物語っている。失恋の苦しみや立ち直り方が描かれているので、多感な青春自体の少女には、やや苦い思い出とともに共感できる作品なのではないだろうか。
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