1976年から連載されている知識の宝庫
「こち亀」の愛称で親しまれる、世代を超えた人気作品
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」通称こち亀は、物心ついたらすでに週刊少年ジャンプで連載していたという世代も多いのではないだろうか。あまり漫画を読まない人ですら、「ジャンプで昔からやっている警察の漫画」という知識程度はある人が多い。こち亀の面白さは、警察が舞台であるにもかかわらず、主人公両津勘吉が好奇心旺盛なため、一話完結型の話で衣食住や様々な趣味について、あらゆる分野の雑学を登場人物と一緒に楽しめる点にある。
ギネスブックにも掲載されている長期連載であるが、時代の最先端の流行りものの話をこち亀で学んだという人も多いだろう。
料理から弓道、射撃、拳法、ゲームどんな分野の人も興味深く読める
主人公の両津は主にベーゴマなどの昔の遊びや、スキー・登山などのスポーツ、サバイバルゲームや家庭用ゲーム、プラモデル作りと少年が趣味とする系統の知識に強く、仕事に熱心でない割には興味を持ったことになると恐ろしい熱心さで知識を習得していく。一方、仲間の麗子や中川は、セレブらしい楽器やスポーツ、また会社を動かしての大きなプロジェクトに参加するなどのことが多く、そういったそれぞれの極めた分野を仲間で楽しむことで、読者が自分の道の分野にも興味が持ているような、バラエティ番組「アメトーーク」のような手法がとられている。両津の年齢は30代で止まってしまっているものの、ずっと時代の変遷を変わらずに見続けてくれるからこそ、飽きが来ずに読めてしまう。
長期連載ならではのキャラも魅力的
連載中に何度もオリンピックがあったが、こち亀にはオリンピックイヤーに登場する「日暮熟睡男」という巡査がいる。四年に一度目覚め、念写などの超能力を使って難事件を解決してしまうのでクビにならないのだ。4年に一度しか出ないキャラに人気があって出るのを楽しみにされるという漫画も、長期連載ならではであり、漫画界でもこち亀だけではないだろうか。また、作者の秋本氏は自分の絵のタッチが変わってきているのを利用して、現在の絵と昔の絵で並行して漫画を描く手法をとったり、とっくにでなくなってしまっていたキャラをいきなり復活させるなど、長期連載を生かした面白い手法で漫画を描いている。また、少女漫画風に徹したり、コマ割りを変わったものにするなど冒険心もあって面白い。世界の価値観が多様化するほどこち亀のネタは膨れていくので、今後もびっくりするような展開に期待したい。
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