難病克服の物語だが、明るく希望に満ちた作品
他の難病系の作品とは一線を画す作品
不治の病である副腎白ジストロフィーに侵された息子を救うために、両親が、勉強をし、医者や関係者に圧力をかけながら、この病気に効くとされる脂を見つけ出すまでの物語という、簡単に説明ができるシンプルな筋書きの作品ですが、他の凡百の難病系の作品とは一線を画す気がします。
まず、作品の雰囲気が明るくて、なぜか最初から「この話はうまくいんだろうな(ハッピーエンドなんだろうな)」と予感させます。映像が明るいのがその大きな要因です。重々しい題材をあえて、そういうカラーで取り組んでみようという思いが製作者側のテーマになっているんだろうなと想像できます。
夫婦の演技が素晴らしい
総じてなかなかの作品です。両親(スーザン・サランドンとニック・ノルティ)の演技が素晴らしく、その必死さがある意味笑えるぐらいで、共感もできます。特にスーザン・サランドンはどの作品においてもですが、目にクールさと辛辣さともろさ、やさしさが複合的に宿っていて、その時折の心情を目を通じて適切に表現してくれます。ニック・ノルティも脇役をやらせば、なんでもできるということを見事に証明するやさしいパパで理解のある夫の演技をしています。
息子の演技も抜群によくて、同情しまた共感します。両親の必死の努力とその心の動き(表情で見せます)が私たちにこの映画の柱をしっかりと意識させ、関係団体とのやりとりにおける緊張感がリーダビリティーを保ったまま最後まで飽きさせないつくりになっています。
一つ言えるのはアフリカ勤務時代に現地の友達からもらった木彫りの剣が何らかの役割を果たすのかと思ったが(そういう提示の仕方もしている)、結局、特に何の役割も果たさず終わっている。じゃあ、あの提示の仕方はなんだったのだろうと思ってしまう。
人生における様々な大切なことを学ばされる
あきらめない心の大切さを学びます。いや、それだけではなく、生きること、力を合わせること、楽しむこと(生きるなかに喜びを見出すこと)、愛すること、努力すること(あがくこと)、達成に向かうこと(目標を成し遂げること)、泣きたいときには泣くこと、ちょっとしたことでも大笑いすることなどなど、大げさに言えば、人生における必要(ではないかと考えられる)なことが、すべてこの作品には包括され、見る人がどんな状態にあろうとも、どれかの部分に反応し「気づき」を与えてくれる作品になっています。
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