ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレの評価
ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレの感想
人の目に触れないと忘れられてしまう演奏家の運命
1998年の作品でこの20世紀最高のチェロ奏者ジャクリーヌ・デュ・プレの生涯を、この演奏家の残った姉と弟が書いた伝記を基にした映画です。手につかんだと思う物は生きて、何なのだと語りかけてくれます。羨望の的で栄光の拍手に包まれながら、病んだ時には行く所が姉のところ、これは胸を突かれるようです。はっと気がついたら自分はステージの上の対象としか見られてなくて、誰も傍にはいなかったと。砂の上に立っていたのだと知る事は、振り向かれなくなったら自分は自分ではないと知る事になるから。いみじくも彼女が師事したのはカルザス、彼はカタルーニャ人でスペインの支配から苦れてきた人、彼女は最後には姉の腕にすがりつきます。人は何処から来て、何処に行くのかとワタシに突き詰めます。