ごちゃまぜとユーモアの傑作 金字塔 - キル・ビルの感想

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ごちゃまぜとユーモアの傑作 金字塔

4.54.5
映像
4.5
脚本
4.5
キャスト
4.0
音楽
4.5
演出
4.5

目次

ゴッドファーザークラスのシーンの積み重ねが秀逸

賛否両論分かれる映画だとは思うのですが、あえて比較させてもらうなら、ゴッドファーザーやウディアレンの傑作映画のように、シーンのそれぞれがすばらしい映画です。

(急に展開する)雪の中の女同士の決闘、ベッドシーン、ヤクザの会議のシーン、屋敷の中の戦闘シーン、アニメティックなシーン、映像に分割のシーンなど、遊び心のあるシーンが印象的に織り込まれ、それぞれにおいて、立ち振る舞い、(美しい)血の表現、(美しい)グロさの表現、(美しい)エロさの表現が、ブラックユーモアのようにちりばめられていてます。

これだけ見せられると「すごい」とか「あざやか」とか「お見事」とか言いたくなってしまう。わくわくして、しかも笑ってしまいます。

音楽と映像の美しさが傑作の所以

ストーリーはいたってシンプル。女性の復讐劇です。決して美人とは言えない主人公ですが、超絶の剣の腕を持って戦いにいどんでいきます。それぞれのシーンの中心にいつもこのブロンドでおかっぱ頭の女性が絡んできます。

何と言っても音楽がすばらしく、シーンを巧みに盛り上げ、あるいは巧みに怖くしています。映像が美しいことが、この傑作を傑作たらしめていると思います。

「なんで頭に銃を受けて女は死ななかったのか?」という疑問点や、刀を持ったままの飛行機移動などできるのかといった点はちょっと疑問でしたが、そんなことぐらいは無視できるぐらいおもしろかったです。

アクションシーンもよく訓練されていると思います。

栗山千明がとても、危なっかしくて、キレキレな演技が「血」や「狂気」を感じさせてくれてとてもよかったですね。あとルーシー・リュウも、きれいで、線が細くて、エレガントなのに、どこか冷たくて同じく「血」や「狂気」を感じさせる凜とした演技を披露してくれました。

いつ殺し殺される?いつグロいシーンが出てくる?という、緊迫感もあって、ハラハラドキドキもします。目を覆いたくなるシーンもあるにはあるのですが、やっぱり、どこか怖いのに笑えるというシーンになっていました。

タランティーノはB級を一級にする天才

タランティーノの才能の源泉はとにかくB級っぽい素材をいかに、わざとパスティーシュ化させ、いかに音楽や演技や脚本で洗練させ、第一級の印象的な映画にするかということが、自然にできていることだと思います。B級っぽいものをそのまま撮ればB級っぽいだけですが、知ってかしらずか、彼はそのごちゃまぜたものをちゃんとスムーズな映像作品に仕上げているところが天才的です。

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