前髪が格好良さを台無しにする主人公 - 鬼切丸の感想

理解が深まるアニメレビューサイト

アニメレビュー数 2,474件

鬼切丸

4.804.80
映像
5.00
ストーリー
5.00
キャラクター
4.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
1

前髪が格好良さを台無しにする主人公

4.84.8
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

主人公のキャラクター設定

主人公のキャラクター設定は、とても格好良いと思います。

(※ただ一つ、前髪は除いて)

主人公は、名前がないという設定は斬新なものだったのではないでしょうか。

主人公の望みである、人間になれた時、初めて名前をもつことが許されるのかな、と想像させます。今から20年以上前に連載されていた漫画コミックがOVA化された作品です。当時の作品の中で、主人公が文字通り「名無し」というのは斬新な設定だったのではないか、と推測されます。巨大掲示板サイト「2ch」の存在で、「名無し」という言葉が、一般に普及したように思えます。しかし、巨大掲示板サイト「2ch」で世間一般に浸透するより、当コンテンツでは主人公に名前の設定がされていません。そういった意味では、時代の先駆け的な存在といえるのかもしれません。

そして、名前すらない主人公は、アニメ本編において不幸な存在に映ります。

誰もが持っているものすら、この主人公は持つことを許されていないのです。金銭面での貧しさ、酷い人間関係よりも、不幸な境遇であることを示唆する設定のように思えます。しかし、境遇を抱えているからこそ、主人公の格好良さが成り立っているのではないでしょうか。また、主人公自身には名前がないのに、彼自身がもつ日本刀には「鬼切丸」という立派な名前があります。物である日本刀より、主人公自身の存在は下であることを暗に表しているように思えます。

ただ、「鬼切丸」という名前には違和感があり、「鬼斬丸」の方が格好良かったように思えます。

何故、「鬼斬丸」ではなく「鬼切丸」というネーミングが成されたのでしょうか。私の個人的見解として考えるに、コミックを読む年代、ターゲット層に合わせたネーミングがされたのではないでしょうか。少年誌に連載されていた漫画からOVA化されている作品です。そのことから、小学生でも読める漢字が選ばれたように思えます。また、「鬼斬丸」だと訓読みをして、「きざんまる」と読まれる可能性も捨てきれません。そのことから、「切」の方が選ばれたのだと推測します。

そして、主人公の声優を担当しているのは、草尾毅さんです。

草尾毅さんの声質は、主人公向けのものであり、声そのものが格好良いです。主人公のイメージにピッタリ当てはまるように感じられます。

しかし、そんな主人公の格好良さを台無しにするものがあります!

それはカッコ書きで前述しているように、前髪の存在です。細い髪質で下された前髪は、広いおでこを隠しているように思えます。また、本当は禿げている事実を隠しているように思えてしまうのです。

せっかく格好良い主人公なのに、全てを台無しにしているのが、前髪の存在です。

ハッピーエンド

基本的には、ハッピーエンド路線の物語だと受け止めています。

OVA作品、全4巻構成のうち、1巻から3巻までの話は、ハッピーエンドの結末が成されています。3巻においては、娘を守る為、母親が自分の命を犠牲にしました。母親が死んでしまっていることで、本当の意味では幸せではないのかもしれません。成長した娘も、母親の存在を忘れているような描写でした。「新しいママ」という言葉には、忘れられてしまった本当の母親を指しているように思えます。しかし、受け止め方によっては、娘自身は元気に成長しており、バッドエンドではなかったのだと思っています。

バッドエンド

何故か、最終巻である4巻だけは、全ての人間が死んでしまうという悲しい結末でした。

明るい未来を指す結末ではなかったことが印象に残っています。特に、これまでの話において、ハッピーエンドで締め括られていたことで、バッドエンドだった最終回が印象に残ってしまいます。

最終話におけるモチーフは、「シンデレラ」なのではないでしょうか。

貴族階級の登場人物が描かれており、焦点が当っていたのが、貴族階級で手伝いとして働く女性キャラクターでした。背景においては、そのまま「シンデレラ」の設定を彷彿とさせます。しかし、結末は「シンデレラ」とは違い、皆殺しという最後です。お手伝いとして働いていた女性キャラクターも、鬼と一緒に切り捨てられてしまいます。

最終話だけを悪く結末にすることで、私が感じたように、観た人の印象に残すことを目的にしていたように思えます。

視聴者サービス

第1巻の話から最終巻まで、それぞれの話における唯一の共通点があります。

それは、女性キャラクターの胸が露わになる場面が描かれていたことです。明らかに視聴者サービスを意識したものであり、そういった意図を感じられる場面でした。意図的だと感じられる理由は、描く必然性がなかった為です。例えば、服が破れることになり、露わになる胸は、破かなくても物語展開には支障がないものでした。

意図的に服を破り、胸を露わにすることで、視聴者サービス場面を入れることを意識したのだと思います。また、アニメ作品より規制が弱いOVA作品の、強みを生かした映像作りをされていたのだと推測されます。

人間になりたい?

人間の内面の良い部分、悪い部分が描かれていたのが印象的です。

客観的にみた時、鬼である主人公の方が、内面的には清い存在のように感じられます。しかし、鬼である主人公は、人間に生まれ変わることを目的にしています。人間の良い面だけみれば、それで良いのかもしれません。しかし、アニメ本編では、悪い面の方が強調されていたように感じられます。

ずっと人間になることを目的としていた主人公は、本当に人間になるべきなのでしょうか。

アニメ本編を観ていると、主人公の目的と、描かれている内容・人間模様が相反しているように感じられました。

それほどになりたいと願い、長きに渡って頑張るほど、人間になりたいものなのでしょうか。

その疑問は、アニメ本編の中で、解消されることはありませんでした。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

鬼切丸を観た人はこんなアニメも観ています

鬼切丸が好きな人におすすめのアニメ

ページの先頭へ