スタジオジブリ作品の影響!? - 伏 鉄砲娘の捕物帳の感想

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伏 鉄砲娘の捕物帳

4.004.00
映像
5.00
ストーリー
3.00
キャラクター
2.00
声優
5.00
音楽
5.00
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スタジオジブリ作品の影響!?

4.04.0
映像
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
2.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

個性の弱い登場人物たち

「伏 鉄砲娘の捕物帳」主人公の大山 浜路(おおやま はまじ)をはじめ、他の登場人物に至るまで、キャラクター個性が抑えられている印象をもちます。

特に、江戸時代をモチーフにしていながら、ファンタジー要素を打ち出した内容です。ファンタジーな世界観を描いたアニメ作品で、登場人物の個性を抑えられていることが斬新だと感じました。主人公の名前が、苗字と名前で構成された一般的な名前です。少し男っぽい名前のようにも感じられますが、横文字の名前ではありません。また、江戸時代をモチーフにしているのであれば、苗字を名乗ってよいのは武士階級のみです。

敢えて、苗字を入れて主人公の名前を命名されている事実は、現代社会における「一般的な」日本人の構成を取り入れる意図が感じられます。ここで強調したいのは、「一般的な」なのです。

意図的に、一般的にすることで、強い個性を打ち出さないようにしていることが伺えるのではないでしょうか。

また、他の登場人物においても、飛び抜けた個性の強さを感じさせるキャラクターはいません。

「伏 鉄砲娘の捕物帳」というアニメ作品は、魅力的なキャラクター性を打ち出したものではない、と受け止めるべきなのではないでしょうか。

そして、キャラクター性で勝負しないのは、他要素を強調させたかったのだと思います。

物語性であったり、物語の中に込められたメッセージ性を強調したかったから、キャラクター個性を弱めたのではないでしょうか。キャラクター個性が強いと、そこに注目してしまい、制作スタッフが本来強調したいものが霞んでしまいます。

スタジオジブリ!?

スタジオジブリ作品には登場人物の画に特徴がある為、「伏 鉄砲娘の捕物帳」がスタジオジブリ作品ではないことは一目瞭然です。

特に、「伏 鉄砲娘の捕物帳」においても登場人物の画に特徴があり、顔が下膨れに描かれている印象をもちます。画風の個性によって、スタジオジブリ作品ではないことが明確に分かるようにされたのでしょうか。

ただ、物語の背景になっている設定や背景は、スタジオジブリ作品と類似する点が多いように思います。

まずは、ファンタジー要素を強く打ち出していることです。ファンタジー要素が強い劇場版アニメは、どうしてもスタジオジブリ作品と比べてしまいます。それだけ、ファンタジー要素はスタジオジブリの専売特許というのが強いように思います。

また、ファンタジー要素が強いと感じさせる理由に、恋愛要素の弱さが挙げられます。

「伏 鉄砲娘の捕物帳」という劇場版アニメにおいて、恋愛要素は強く打ち出されていません。主人公の設定が少女だから、そう感じさせるのかもしれません。確かに、浜路と信乃(しの)の間に、特別な感情はあるように感じられます。しかし、それは恋愛感情とは違うものであり、親近感のような感情のように思えました。

恋愛要素が弱いからこそ、ファンタジー要素を強く感じられたのだと思います。

そして、この構図は、スタジオジブリ作品にも同じ傾向があり、スタジオジブリのファンタジー要素の強い劇場アニメにおいても、恋愛要素を強く打ち出しません。だからこそ、「伏 鉄砲娘の捕物帳」アニメ本編から、スタジオジブリ作品らしさを感じてしまうのかもしれません。

下膨れ面のキャラクターたち

「伏 鉄砲娘の捕物帳」は、独特のキャラクターデザインをされていると前述しました。

これは、オリジナリティーであり、何かに影響のようにも感じられます。もし、何かの影響なのであれば、何の影響を受けたキャラクターデザインなのでしょうか。

私は、「ドラゴンボール」や「Dr.スランプ」でお馴染みの鳥山 明の影響なのではないか、と感じました。特に、「ドラゴンボール」より「Dr.スランプ」の方が、「伏 鉄砲娘の捕物帳」に影響を与えているように思います。鳥山 明も、時代と共に画風が変わったように感じられます。しかし、昔のアニメ・漫画作品「Dr.スランプ」のアラレちゃんにおいても下膨れ面のキャラクターであり、浜路に似ているように感じられます。ただ、「伏 鉄砲娘の捕物帳」の方が、下膨れ面のデフォルトが強く、可愛らしさが失われているように思えます。

少し、デフォルメの具体が強過ぎてしまったのではないでしょうか。

物語後を考える

大きく2つに着目したいと思います。

1つは、信乃のその後についてです。そして、もう1つは、浜路のその後についてです。

まずは、信乃についてですが、人間が生活する場所から去り、物語が締め括られました。人間を食べる信乃は、人間の元から去るということは、絶食する意思表示をしているのだと思います。すなわち、そのまま自然の中で死んでいく道を選んだように思うのです。伏という種族において生き残っているのは、信乃だけです。種族としても、滅びゆく運命にあると考えられます。

また、人間たちから歓迎される種族では、決して無いと思われます。

人間を食べてしまう種族であるにも関わらず、信乃は人間という存在が好きだったのだと思います。だからこそ、自分自身の存在意義について、悩んでいたのではないでしょうか。

そして、浜路のその後についてです。

ここで注目したいのは、殿様の存在です。物語最後では、舟で花火を鑑賞しながら、お酒を楽しんでいる場面がありました。殿様においても、信乃に自分自身の感情をぶつけ、何か吹っ切れたように感じました。とても穏やかな表情をしていたのが、印象的です。きっと、政治の面でも、安定して平和な世の中が築かれることを示唆していたのではないでしょうか。

そして、主人公の浜路ですが、伏がいなくなったことで、猟師とは違う道を歩むのではないでしょうか。字を覚えることに興味を示し、狩り以外にしたいことが漠然とでてきたように思えます。狩りに執着するのであれば、江戸には居られないので、田舎に帰る必要があるでしょう。しかし、そんな選択肢は想像できないのです。

きっと、平和な世の中で、浜路の兄の子供の面倒をみながら、狩り以外の生きる術を身に付けていくのだろうと想像してしまいます。

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