「僕が拒否してたこの世界は美しい」
社会現象とはこのこと!
平均視聴率30%を記録し、ドラマ放送終了後には航空会社への就職希望者が急増、ANAの株価が一時上がるなど、まさに社会現象を巻き起こしたドラマなのであります!(いつものように、キムタクの乗ってた車もめっちゃ人気になったらしいですw)
航空業界を舞台にした、爽やかな人間ドラマ
熱血副操縦士に木村拓哉、整備士に柴咲コウ、その他にもCAを演じる黒木瞳、先輩パイロットに堤真一などなど豪華な俳優陣がドラマを彩っています。キムタク扮する曲がった事が嫌いな新米パイロット新海元が、様々な境遇を背負った登場人物たちと不器用ながらもぶつかり、そして理解し合っていく人間ドラマです。このドラマを一言で表現するなら「爽やか」です。爽やかと言っても決して「軽い」といった感じではありません。重厚な人間ドラマの先に、胸の中が洗われるような清らかな感動が待っています。見終わった後には誰もが爽やかな気持ちで明日を迎えられるはず。
人は皆、変わることができる。
このドラマで特に丁寧に描かれているのは、各登場人物の成長でしょう。もちろん主人公、新海の変化もあります。しかしその新海の変化を生み出すことになる、そもそもの彼の情熱が周りの人間たちを巻き込んでそれぞれの心の中にある壁を溶かしていきます。特に私は堤真一演じる幸田キャプテンのキャラクターの描き方は見事だと思いました。ドラマ序盤、柴咲コウ演じる緒川と幸田キャプテンの話すシーンで、幸田キャプテンがジョークを言って緒川が驚くというくだりがありましたよね。よくあるショーもないドラマって、堅物な登場人物はとにかく堅く堅く堅く(常に眼鏡に手あてちゃったり)、根暗な登場人物はとにかく暗く(常にうつむいてたり)描かれますよね。なんというか、デフォルメされた人間像、もう「これ!」って感じのわっかりやすいキャラクターですよ。でも実際そんな単純なキャラクターの人間っていないじゃないですか。一見堅そうな人だって、心の芯の芯までガチガチなわけじゃない。ふとした瞬間に柔らかい表情を見せてくれる。暗いって周囲に言われてる人だって仲の良い友達と話すとき、好きなことについて話すときってイキイキしてますよね。つまりは人って、周囲との付き合いをなるべく楽に円滑に進める上での自分のキャラクター像みたいなものは持ってる(無意識のうちに作り出している)けれど、実際は一つの自分という人間の中には様々な感情を持った、その時々の自分像が存在するわけです。幸田キャプテンという人間の中にも色々な表情、感情が生きている。そのことをこのドラマはしっかりと理解して描いていますよね。幸田キャプテンは過去の出来事を十字架として背負い、自分をあの「お堅い自分」という扉の中に閉じ込めることで罪を償おうとしている。緒川の前ではその閉ざされた扉が開きかかったりするわけですが(この描き方も逸脱)、やはり扉を閉ざそう、閉ざさなくてはならないんだと自ら世界を拒絶します。このドラマの登場人物の多くは心に色々な意味合いを持った扉をこしらえています。幸田さんだけでなく、緒川も、そして冨樫チーフも。しかしそれらの扉は、新海の情熱によってそれぞれ自らの手で開け放たれ、壊されていきます。私たちも明るく楽しく他人と関わっているつもりでも、心のどこかの側面では扉をこさえ、どんなものであっても拒絶してしまうようなそんな部分があるかもしれない。もう一度、初心に戻って一つのことに情熱を注いでみる。拒絶なんて言葉を忘れてしまうくらいの勢いで無我夢中に生きてみる。その情熱のパワーで扉が開きかかった時、最終回の新海、幸田の二人が握手を交わしたコックピットのように、自分が勝手に拒否していた美しい世界を美しい太陽が照らしてくれるかもしれない。このドラマを見た皆さんが新たな情熱を胸に、明日を生きていけることを願って。good luck!! なんちって
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