アイドルと恋愛対象
色んな国籍の登場人物
「超時空要塞マクロス」というアニメ作品で印象的なのは、多くの人種が描かれていることです。
主人公の輝、ヒロインの未沙は名前から判断するに日本人です。そして、もう一人のヒロインであるミンメイは、名前から判断するに中国人なのだとう、と受け取ることができます。
また、スカル小隊のリーダーだったフォッカーや、女性士官だったグローディアは、名前や外見の特徴から、アメリカ人なのだろうと想像できます。
多種多様な国籍・人種を登場させているアニメ作品は、類を見ないものなのではないでしょうか。
さらには、主人公たちが敵対する対象は宇宙人であり、地球の枠すらも超越しています。
それぞれのキャラクター設定においても、敢えて多種多様にしていることが伺える事実だと思います。
そして、差別や争いのない世界を描きたかった意図が感じられないでしょうか。
羨ましすぎる主人公
「超時空要塞マクロス」主人公である輝の置かれる状況が羨ましいです。
美味しすぎるシチュエーションであり、観る側からすれば多くの男性からは、そのように映るのではないでしょうか。
自分の好きなアイドルと3日間ほど、同じ空間で二人きりで過ごせるという状況が最高です。現実社会においては、アイドルと呼ばれる存在と直接接する機会が出てきました。その筆頭といえるのが、アイドルユニット「AKB48」の存在です。しかし、「超時空要塞マクロス」は1980年代のアニメ作品であり、当時の時代背景からすると、アイドルと直接的なコミュニケーションをとれる時代ではありませんでした。
まさに、アイドルとは「偶像」のものであり、現実社会に実在する人物でありながら、抽象的な存在として捉えられていた一面が強いと思うのです。
現実的な実在人物ではなく、憧れの対象であったアイドルという存在をロボットアニメというコンテンツに持ち出したことが斬新ともいえます。そして、そんな憧れの存在と二人きりで過ごすことができる機会など、在り得ない状況でしょう。
在り得ない状況を描いていることが「超時空要塞マクロス」というアニメ作品の魅力なのだと思います。
主人公、羨ましすぎる輝ですが、観点を変えて楽しむこともできるのではないでしょうか。
主人公、輝に感情移入することで、自分のことのように楽しむのです。自分がそんな状況になったら、なんてことを考えることができます。観る方の好きな実在アイドルに置き換え、そんな状況を想像で楽しむこともできると思うのです。
そういった着眼点と発想を与えてくれる作品が、「超時空要塞マクロス」なのではないでしょうか。
留まらない羨ましさ
滅びた地球を旅する場面においては、主人公の輝は、未沙と二人きりのシチュエーションになります。
若い男女であれば、これは結ばれるシチュエーションだと思うのです。こんな機会に恵まれている輝の羨ましさは留まることを知りません。しかも、輝の身勝手な判断でマクロスから飛び出し、こういった状況に置かれます。因果応報という考え方や、悪いことをすれば罰が当たるという考え方はどこかに飛んでいってしまっているように感じられます。そして、アイドルであるミンメイと良い仲になりそうなのに、未沙と結ばれてしまいます。
主人公の輝はモテるというキャラクターではなく、輝の置かれるシチュエーションがあまりにも美味しすぎるように思えます。特に、未沙においては、主人公の輝からすれば上官にあたる存在です。年上であろう憧れのお姉さんと結ばれる結末は、アイドルとまでいかなくても、羨ましい展開ではないでしょうか。
輝の選択肢
主人公の輝が、ミンメイと未沙のどちらを選ぶのか、という展開は観る側の気になる部分だったように思います。
こうやって、主人公が二人の主人公のどちらかを選ばないといけないシチュエーションは、ゲームコンテンツ「ドラゴンクエストⅤ天空の花嫁」を彷彿とさせます。しかし、「ドラゴンクエストⅤ天空の花嫁」においては、どちらを選ぶのか、プレイヤーに委ねられていました。
「超時空要塞マクロス」主人公である輝の選択は、観る者にどんな印象を与えたのでしょうか。
私自身は、意外な選択だったように感じました。ミンメイと未沙では、ミンメイの方が輝と同世代であるように感じられます。そのことから、輝は最終的には、ミンメイと結ばれるものだと予測していました。もちろん、アイドルと年上のお姉さんを天秤にかけた時、アイドルに傾くのは必然とも思っていました。
上記のことから、多くの観ている方は、輝とミンメイが結ばれるものと予想していたのではないでしょうか。
しかし、意図的に観ている方の予想を裏切る展開にしたように感じられます。これが本当にそのような結末を迎えていたのなら、未沙の存在はあまりにも可哀相なものになってしまうと思うのです。そして、主人公の輝においても、ただ羨ましいヤツと映っていたように感じられます。
また、予想を裏切ることで、物語としては面白いものにしたのではないでしょうか。
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