独特の世界観。そして夜から夜明けへ。
監督特有の映像の美しさ
この作品は短いショートストーリーがまとまった作品となっています。
どの作品もストーリーそのものの繋がりはないですが、
全ての作品が一夜のうちに起こっていることとして描かれています。
夜が話の舞台。そのため、画面は暗いことが多いですが、
それもまたこの監督の良さとして受け止められます。
あまり気取った映画ではないのに、
どこか古くて、でも懐かしくて、
受け入れやすい作品だと思います。
登場人物のキャラクターの濃さ
パッケージにも映されているウィノナ・ライダーがとにかく美しい!
見た目だけではなく、その役どころもまた美しくかっこいいんです。
観た人にしかわからない良さがありますよね。
作品の最後に入っているストーリーに出てくる人々も又、魅力的です。
その辺にいるような人々で親近感を覚えるのに、
作品を見ているとハッとさせられるようなところがある。
それがこの作品に出てくる登場人物のキャラクターの濃さにつながるのかと思います。
キャラクターの濃さ=性格の濃さは、つまり際立った個性ともいうべきでしょうか。
キャラクターの濃さは、ストーリーがあってこそ。
ストーリーもそれぞれ短いながらに、
見ている側に訴えてくるものがあります。
映像・美術・セリフ等、映画は複合芸術ともいわれますが、
本当にその通りだなぁとこの作品を見て感じました。
観終わった後に浄化される
すべてのストーリーを見終わると、映画の中では夜明けを迎えます。
この作品、ただただ見ているだけでも面白いのですが
真夜中に寝れなくなった時に観るのもいいんです。
自分の生きる時間軸と、映画の中の時間軸が合わさったときに
何とも言えない感動が生まれます。
私も実際そのようにして、この映画を鑑賞したことがありますが、
新しい映画の見方を教えてもらったような気分になりました。
自分が生きているこの夜の時間に、
この映画のようなストーリーがどこかで生まれているのかなぁ等と
映画の余韻に浸りながら迎える朝は、また感慨深いです。
そして、映画の中で夜明けを迎える瞬間に
なぜか見ている側の自分が、浄化されたような気分になるんです。
おかしな話だとは思いますが、本当です。
個人差はあると思うので、誰しもがそのように思うことはないと思いますが、
私の場合、ここまで綺麗な気持ちで映画を見終えたことは
後にも先にもこの作品だけのような気がします。
ジム・ジャームッシュ監督ならではの世界観は
作品の随所で感じることができます。
余韻に浸ることもできるし、登場人物に自分を重ねることもできるし、
映画と共に夜の時間を過ごしてみたり・・・と
様々な楽しみ方を教えてくれる映画です。
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