こういう食堂どこかにないかな
ふらりと立ち寄りたくなる食堂
「めしや」を一言で例えるなら地味でしょう。食堂自体も華美なところは一切ないし、出てくる料理も地味です。綺麗な女性店員やイケメンの男性店員がいるわけでもありません。
しかし、なぜか客は絶えないし常連客も多いです。ふらりと自然に足が向いてしまうのかもしれません。お客は実家へ帰るような気分でこの食堂の暖簾をくぐるのではないでしょうか。
何も気を張る必要もなく、自然体で食事やお酒が飲めるお店ってなかなか探しても見つからないです。こういうお店が自分家の近所にもあればいいのにと読む度に思います。
定番料理だからこそ
マスターが作る料理は特別なものは何もありません。普通にスーパーで手に入る食材でごく一般的な料理を作ります。作中の中には赤ウインナー炒めだとか、それ自分で作った方が早いんじゃ?っていうメニューも登場します。
中にはこういう誰でも作れる料理もありますが、マスターの料理スキルは中々のものだと思います。客の要望を聞いてメニューにない料理を何でも作るって結構難易度高いです。
そして、一つ一つの料理は地味なものだけど作っている過程は手抜きがなく丁寧です。お客さんに少しでも美味しいものを食べてもらえるようにというマスターの心意気を感じます。
だからこそ、お客さんの心に響き何度も足を運びたくなるのです。
この食堂の客達はマスターの心のこもった料理を食べて、荒んだ心を癒しながら心にぽっかり空いた穴を埋めているのでしょう。
無口だけど人情深い
「めしや」のマスターは愛想が良くて話上手な客あしらいが上手い店主ではないです。むしろ、左目には深い傷跡があって強面です。ペラペラ喋る人でもないので客受けがいいタイプではありません。しかし、なんとも言えない懐深さというか包容力を感じます。この人ならどんな話をしても受け入れてくれそうな気がします。
余計なことは言わず、客の言葉に耳を傾けその時々の客の食べたいものを作ってあげる。
鬱陶しいことばかりでストレスが溜まる日常の中で、「めしや」の暖簾をくぐればいつものマスターがいて、いつものご飯を作ってくれる。こんなにホッとすることってありません。
「めしや」には深夜に寂しさを抱えた人がやってきます。客それぞれに日々の暮らしがあり人生があります。様々な悩みを抱えているのでしょう。そんな客たちにマスターはひっそりと寄り添います。
このマスターの人柄こそが深夜食堂一番の魅力なのだと思います。
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