潜水艦の駆け引きが面白い要素 - 沈黙の艦隊の感想

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沈黙の艦隊

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音楽
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潜水艦の駆け引きが面白い要素

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

視界確認できる乗り物ではない

潜水艦という乗り物が、他と明らかに違うことは直視で視界確認をする乗り物ではないということだと考えられます。

超音波や音により、前方や周囲の状況を確認するものであり、他とは明らかに違う部分ではないでしょうか。そのことにより、潜水艦においては独特な駆け引きが発生して、アニメ作品の面白さに直結する部分なのだと思います。

潜水艦の存在を全面に押し出したアニメ作品にハズレは少ないのではないでしょうか。

代表例として挙げられるのは、「不思議の海のナディア」だと思います。ノーチラス号という潜水艦の存在が強かったアニメ作品ですが、「沈黙の艦隊」と同じような面白さがあり、好感をもてるポイントだと考えられます。

特に、「音」の存在が潜水艦では重要なものとなり、駆け引きする要素として大きいです。敵の攻撃を音で判断し、打ち出された魚雷の数を最初に判断するのは発射音です。レーダー機器などの存在も大きいですが、アナログな「音」という部分に頼らざるを得ないことが楽しくさせるのだと思います。

潜水艦アニメとして挙げた「不思議の海のナディア」ですが、「沈黙の艦隊」と似た設定として、艦長が只者ではない存在だということです。

駆け引き要素が強い潜水艦同士のバトル展開があるアニメ作品では、艦長の存在がとても重要になってきます。切れ者だからこそ駆け引きに長け、難局を乗り切れるのであって、潜水艦アニメでは只者ではない艦長の存在は必要不可欠なものと考えられるのではないでしょうか。

 

潜水艦として独立国家

非常に驚かせる展開で、面白い脚本だと感じました。原作者の方は、国際法やルールについても、非常に勉強されたことが伺えました。日本国籍を捨てた自衛隊員というものにリアリティーがなく、突拍子がないように感じられました。

しかし、物語をこのように展開させるのであれば、納得させられる部分がありました。

日本国籍を有した自衛隊員であれば、ただの犯罪者という括りにしかなりません。しかし、日本国籍を捨てているからこそ扱いに困るのであって、物語が面白くなる部分なのだと思います。

ただし、原作者においては、政治的思想に偏りがあることも伺えます。

アメリカという国を信用してないという前提がなければ、このような物語を描けないと思います。これは原作者の心の在り様をそのまま作品にしているように感じられるのです。そして、今の日本という国の在り方、アメリカと日本の安保条約に警笛を鳴らしているものだと受け止めることができます。

「沈黙の艦隊」というアニメ作品は、右方向に大きく傾いた主張のアニメ作品だと捉えられないでしょうか。

これは、作品そのものを面白く描くために意図的にこうしたのでしょうか、または、原作者が元よりこう考えているから作品そのものに反映されたのでしょうか。

それは観る人それぞれの感性に委ねられる部分なのだと思います。

 

切れ者過ぎて目的が分からない

「沈黙の艦隊」の最も面白い部分は、艦長自身の目的が明らかにされていないことなのだと捉えています。

アニメ本編では慎重派と表現されていますが、私自身は、駆け引きには長けており、時には大胆な行動をとる人物だと受け止めています。艦長の目的が明かされないまま、潜水艦として国家宣言をしています。この行動自体が、非常に大胆な行動であり、慎重な人物のとる行動ではないと考えられます。

自衛隊時代は、周囲を欺き続け、慎重な人物像を印象付けるよう演技していたのだと思います。すなわち、突如として大胆な行動をしたように思えますが、実は周囲を欺き続け、虎視眈々とチャンスを狙っていたことが伺えます。それ自体、慎重な行動なのかもしれませんが、周囲の人物が艦長に対し抱いている人物像と合致していれば、このような行動はとらないと考えることができます。

アニメ本編では描かれていないことですが、ここに至るまでの経緯を考えてみると、アニメ作品そのものの面白さが増すように思えます。

潜水艦同士の戦いや、国家宣言などで大胆な行動をとる艦長ですが、艦長自身の目的が明かされないことで、次の展開が読めないことが面白さなのだと思います。想像できてしまったら、意外性が弱くなるので、驚きも弱くなるのは確実なことです。次の展開が読めてしまうと、艦長の行動による大胆な印象が半減してしまうのです。

敢えて、艦長の目的が明かされないまま、物語が進行していくことが、「沈黙の艦隊」というアニメ作品の最も大きな面白さなのだと思います。

 

過激な内容なのは間違いない

如何にフィクションの創作物とはいえ、内容は過激なものだと思います。とことん、アメリカを悪役に描いたアニメ作品だと捉えることができます。地上波2時間枠で放送される予定でしたが、延期となり、深夜枠でひっそり放送された事実に頷けるものがあります。

もう地上波で放送される可能性はないのかもしれません。それだけインパクトの大きいアニメ作品だと思いますし、主張の強いコンテンツなのではないでしょうか。

しかし、この原作マンガを取り上げ、アニメ化されたことに意義は大きいのかもしれません。また、深夜帯といえども放送された事実は凄いことだと思います。実名で登場する国家や、組織が多いことから、観る人によってはフィクションと受け取らない可能性もゼロではないように思えます。

見応え十分だったアニメ作品「沈黙の艦隊」に私自身は、とても満足です。

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