奥さんにしたい最高の女性 - 哀しみのベラドンナの感想

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哀しみのベラドンナ

5.005.00
映像
5.00
ストーリー
5.00
キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
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奥さんにしたい最高の女性

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

キツい内容を描いたアニメ

今の感覚では制作されないようなアニメ作品だと思います。
昔のアニメ作品ですが、それを感じさせない点は素晴らしいの一言しか出ません。大人向けに制作されたアニメ作品だけあって、描かれている内容も、重みを感じられます。子どもが観ても理解できない内容だと思いますし、メッセージ性においても強烈に訴えてくるものを感じられます。
まさに名作と呼べるアニメ作品だと思います。
アニメーション技術が進んでも、今の時代、このようなアニメ作品が制作されることはないと思うのです。
その理由として、まず、商売として儲かる図式が描けないことが挙げられます。
シリアスな内容で、観る層が限られるアニメ作品では、確かに商売として厳しいものでしょう。一般的には、間口を広げて多くの方に観てもらえることを前提としなければ、儲かる図式か描けないものだと思います。
そして、様々な制限により、制作スタッフが描きたい内容を描けない背景も挙げらるのだと思います。
昔より現在は、表現の自由においても、窮屈になっているのは間違いないのではないでしょうか。よく見受けられる例として、小説やマンガを原作としたコンテンツがアニメ化されることかあります。しかし、原作の表現をそのままのかたちでアニメ化されることは少ないのです。特に、地上波などで放送されるアニメにおいては、表現の制限が厳しいのだと思います。
二度とこのようなアニメは制作されないのだろうと思えてしまいます。そういった意味でも、このアニメ作品の存在価値は大きいのではないでしょうか。

キツいと思える表現について

権力に虐げられる民衆を、リアルに描写しているのが厳しいところです。人権が明らかに蹂躙されています。特に、新郎ジャンが税金を払えなかったことで、処女だった花嫁ジャンヌが、王様や兵士たちに犯されてしまうのは凄惨な場面だったように思えました。
性的な場面は、抽象的な描写をすることで、過激さを抑えようとした意図は感じられました。しかし、許されない人権蹂躙に驚かされます。そして、そんな表現をする「哀しみのベラドンナ」というアニメ作品にも、面食らうものがあります。
ただ、アニメ作品の表現したかったことは、そんなことが平然と行われていた歴史があり、事実があるということなのだと思います。目を背けたくなる場面ですが、むしろ目に焼き付け、記憶に刻むべきものなのではないでしょうか。

健気なベラドンナ

周囲や旦那に裏切られたジャンヌは、少しずつ悪魔寄りの存在になっていくことが印象的です。
最初は悪魔の力を利用して、窮地を凌いでいくジャンヌですが、とうとう身も心も悪魔に捧げてしまいます。助けてくれる存在は、誰一人おらず、自然な流れであるように思います。
しかし、身体は捧げても、心は捧げないと悪魔に言い切ったジャンヌはカッコ良かったです。しかし、旦那さんに裏切られたことが決定打となり、とうとうジャンヌは全てを悪魔に捧げる決意をします。
ここまでの経緯が、ジャンヌを健気な存在に感じさせます。これまで、ジャンヌは自分自身の欲で行動していないのです。そして、権力者たちに酷い扱いを受けます。
悪魔に全てを捧げたジャンヌは、これまでの恨みに対し、報復でもするのかと予想してしまいます。しかし、ジャンヌの行動には再び、驚かされるのです。また、自分の力を人々たちのために使い、人々のために尽力するのです。
悪魔に身を売ったにもかかわらず、中身は悪くなりきれません。本当に素晴らしい女性だと感じさせ、悪魔ではなく、聖母マリアを思わせるものがなしてしょうか。

物語の結末

物語の結末で、フランス革命の前の世界だったことが明らかになります。
全てはそこに着地するためのシナリオだったのです。だから、人権蹂躙を強調する場面が多かったのだと思います。フランス革命とは、人権を確立したものです。人々が人権を勝ち取るために立ち上がった革命といえます。
だから、キツい描写が多かったのか、と納得させられるものがあります。過激な描写、エグい場面は必要不可欠だったのです。
そして、ジャンもジャンヌも悲しい結末だったように思います。しかし、それすらもフランス革命への布石だったと考えられます。
実は、違う結末を描くこともできたと思うのです。
ジャンは、ジャンヌと寄りを戻し、王様がジャンヌを呼んでいることをジャンヌに告げました。しかし、王様の元に行けば、ただでは済まないことは容易に想像できるのです。
ここでは、王様の元には行かないという選択肢もあったはずなのです。王様の元に行かなくても、いずれ攻めてくると思うのなら、逃げるということも考えられたはずです。
そして、それがハッピーエンドになった道だと思いますが、事実は悲しい結末を迎えています。
全てはフランス革命という結末があって、物語が作れれたように感じられます。

最後に、ジャンがみせた男気はカッコ良かったです。あの行動に、ジャンヌはどれだけ救われたことでしょう。死んでしまうのは悲しい結末ですが、ジャンヌの命を賭けた行動は素晴らしいものだと感じました。
そして、ジャンヌへの愛情を示すものだと思います。

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