大人になってようやく納得できる - スキップの感想

主人公の人間味溢れる行動に共感

ある日目が覚めると女子高生のわたしは

40代のおばさんになってた…

読んだ当時、同じく女子高生だった私は

激しく共感しましたよね～

ぴちぴちだった体が醜くなり

おじさんとしか思えない人が旦那なんて！

一番ショッキングだったのは

両親が亡くなってたこと。

その場面の静かさと時が止まったような感覚が

身に染みて感じられました。

現代文の教師らしい豊かな言葉遊び

まず、知らない間におばさんになって

見知らぬ人しかいない世界に飛ばされて

仕事をしようというのがすごい。

私だったらもう死んだも同然の生活に

なっちゃうよな～と思いながら読みました。

 授業の内容は、こんな教師がいたらいいのに～って

興味の持てるものばかり。

自分の好きな言葉を発表する授業で

生徒に「先生は?」と聞かれた主人公が

「自尊心」と答えるところが

すっごく心に残りました。

自尊心って自惚れとかプライドとか、

あんまり良いイメージの言葉ではなかったけど

主人公が胸を張って言ったその意味は

もっと違う意味の、気高さがある気がします。

あと、主人公の受け持つ演劇部の文化祭の劇で、

生徒が最後に叫ぶ台本にない「おかあさん！」

胸が締め付けられました。

文中には主人公の気持ちは何も書かれてないけど

この劇を見ながら自分の、

時のスキップに引き裂かれたお母さんを

思い出してるんじゃないかと思って

ここが一番印象的でした。

元の世界に戻れないなんて！

普通こういうファンタジーもの(?)って

元の女子高生に戻れますよね。

なのに『スキップ』では戻れない。

主人公は最後、子どもにお母さんと呼ばれ、

おじさんの旦那に頬を染めて歩みよるけど

読んだときは「えーっ?！」って感じ…

全然納得いかなかったです。

主人公はもうその世界で生きていく覚悟が

できたような感じだったけと

私はおいてけぼり…みたいな。

最後は元の世界に戻って時が経ち、

旦那や子どもと再会…という展開を

最初から予想していただけに驚きでした。

でも最近また読み返してみると

また気持ちが違うんですよねー

二回目っていうのもあるかもしれないけど

主人公の発する言葉の端々から

覚悟が聞こえてくるような…

あと気になったのが、おばさんになった主人公に

生徒が告白してくるんですけど

そこはちょっと納得できなかったです。笑

いくら言動が、心が若々しいからって

親の年の人に?！って

でもその告白への返事がよかった！

「愛してちょうだい。好きになってちょうだい。

ありがとうと言うわ。でも、でも…

手を繋ぐことはできない」

ここまで、若さとか自分の生きていた『時』に

執着を見せていたのが

完全に大人でないと言えないセリフだな～って

思います。

若い生徒は「恋に年齢は関係ない」と

納得できない。

けど大人ってこういうことだよなーと

思わされました。

若い人の尻を追っかけてる、

大人の皮を被った分別のない人も

たくさんいるんだろうけれど。笑