自分自身の幼少期を思い出させる
リョウタの存在
インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」では、登場人物の記載欄に主人公だと紹介されています。元気の良いキャラクターで、男子らしさを強調するキャラクターだといえます。アニメ本編の中で、目立つ存在であることは否定できません。
自分自身の幼少期と重ねてみても、自分の行動と重なる部分や、自分とは別に該当する人物を思い浮かべることができるのではないでしょうか。クラスの中心人物といった位置付けが強いキャラクターなのだと思います。
目立つ存在である分、不幸が降りかかることが多いです。そして、それ自体が話のオチになっていることも多いように感じます。
多くの登場人物がいますが、自分自身の幼少期を一番重ねやすいキャラクターなのではないでしょうか。そもそも男子の主要人物が三名で構成されていますので、その中心的な役割を果たしているリョウタが目立つのも当然なのかもしれません。
ただし、私自身の見方では、リョウタは「今日の5の2」というアニメ作品の主人公ではないと受け止めています。
元気がよく目立つ存在であることから主人公に映るだけであって、アニメ本編においてはリョウタ目線で描かれていることは少ないように思えます。アニメ本編自体が、どこか客観視されているように思えるのです。
これは私自身の見方が偏っているから、なのでしょうか。
主人公は誰なのか!?
前述の通り、私自身はリョウタを主人公だと考えていません。リョウタが主人公であるなら、ヒロインであるチカの存在は、もっとクローズアップされて描写されているべきではないでしょうか。
しかし、チカの「今日の5の2」というアニメ作品の位置付けは、他の登場人物と横一線のクラスメイトだと思います。むしろ、チカ以上に目立つクラスメイトの存在もあるのではないでしょうか。ただ、リョウタの幼馴染であり、お互いに淡い恋心のような感情を潜ませているだけのように思います。
そこを主眼をおいて、物語が展開されているわけではありません。むしろ、小学5年生の学校生活としての描写が強いのではないでしょうか。
それでは、アニメ作品「今日の5の2」の主人公は誰なのか、述べていきます。
それは前述したように、アニメ本編が客観視されているように描かれていることがポイントだと考えます。誰の目線で描かれているのではなく、アニメ本編の全体が客観視されていることが多いのです。
客観視されているということは、むしろ映像での登場頻度の低い人物の目線で描かれていることを表していると推測されます。そして、登場人物の中で、客観視する性質の持ち主、登場頻度の多くない人物、控えめな人物像で考えていくと該当する人物がいます。
アニメ作品「今日の5の2」の主人公は、アイハラだと考えられます。
そう考えると確かに、アニメ本編の第一時間は、リョウタとアイハラの二人から始まります。アニメ本編の扱われ方に惑わされがちですが、アイハラの存在感は大きいのだと思います。アイハラの視点で観察されていることが、アニメ本編における前提になっているのではないでしょうか。
そして、他アニメ作品と比較した場合、アイハラが主人公であるなら、最も存在感のない主人公だといえます。確かに彼女のキャラクターは無口で控えめ、何を考えているのか分からない個性的な人物像です。しかし、主人公をアイハラと考えるなら、その存在感の薄さが彼女の最大の特徴であり、個性といえるかもしれません。
真顔の面白さ
アニメ作品「今日の5の2」の特徴といえる部分は、画風が切り替わり、真顔を強調することも挙げられます。明確に、画風が切り替わるというアクションが起きることで、笑いどころそのものをを明確にしているのだと思います。
そして、視点を変えてみると原作者・制作スタッフの笑いを誘っている場面を明確に表しているところとはいえないでしょうか。
真剣にふざける行為は、面白いです。そして、それをアニメーションで再現しているのが、「今日の5の2」というアニメ作品だと思うのです。同じ手法が使われたアニメ作品として、タイムボカンシリーズが挙げられます。「ヤッターマン」「イッパツマン」「イタダキマン」などに代表されるアニメ作品も同様の手法で笑いを誘っていました。
ただ、手法の使われ方の違いも見受けられます。
タイムボカンシリーズのアニメ作品では、他にも多くの手法を用いる中で、バリエーションのひとつという位置付けでした。しかし、「今日の5の2」では、その手法に傾注していることが伺えます。
制作スタッフによる「今日の5の2」というアニメ作品から、打ち出された強い特徴だと受け止められるのです。そして、笑いどころを明確にすることで、笑ってほしいタイミングを逃してほしくないという意図を感じることができます。
手法の幅を狭めていることで、アニメ作品の特徴と呼べるところまで昇華させているのは素晴らしいことではないでしょうか。
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