ギリシャ神話だと聖闘士星矢に重ねてしまいます~
聖闘士星矢との比較
同じくギリシャ神話をモチーフとした話ですが、内容は全然違う作品に仕上がっています。現代世界を背景としている「聖闘士星矢」と、ギリシャ神話そのものを背景としている「アリオン」では相違していても頷けます。
しかし、神々のキャラクター性においても、ここまで違ったかたちで描かれるものなのか、と感じてしまうところが多かったです。むしろ、そんな観点で見比べていました。
「聖闘士星矢」の代表格といえば、主人公側として描かれていた「アテナ」の存在です。「聖闘士星矢」の「アテナ」は平和・癒しの象徴として描かれていました。しかし、「アリオン」における「アテナ」は好戦的な印象が強く、目的のためには手段を選ばない存在として描かれていました。
両作品における「アテナ」の存在は、真逆まではいかなくても、明らかに違うベクトルに向いているものでした。「アリオン」を観たことで、私自身の中での「アテナ」の印象が随分変わりました。骨肉の争いをしているのだから、元々の印象に近いのは「アリオン」の「アテナ」なのだと思います。
そして、両作品に共通して出てきた敵キャラクターとして、「ハデス」の存在を挙げます。呼称においても、すでに違っています。「聖闘士星矢」では「ハーデス」と呼ばれていたのに対して、「アリオン」では「ハデス」と呼ばれています。また、「聖闘士星矢」の「ハーデス」は若々しいイメージだったのに、「アリオン」の「ハデス」は汚らしいオッサンでした。
同じキャラクターを描いていても、全然、キャラクター性が違うことに面白さを感じました。
余談ですが、「ゼウス」の存在も、「ビックリマン」においては神々しい存在で、正義を象徴するものとして描かれています。しかし、「アリオン」では完全に悪役であり、「ゼウス」を悪役にしているアニメ作品に初めて出会いました。
そういう観点では、斬新なアニメ作品なのではないでしょうか。
他アニメ作品の影響
まず、「アリオン」というアニメ作品を観て、思い浮かべた他アニメ作品として、「聖闘士星矢」の他に「機動戦士Zガンダム」があります。「アリオン」の主人公であるアリオンの声が、「機動戦士Zガンダム」と似ていると思った為です。実際には声優が違うことから、同じ声という事実はありません。しかし、声質や話し方がとても似ており、「機動戦士Zガンダム」を彷彿とさせるものがありました。
また、制作された会社が違うのに、両作品の作画イメージも近いものがありました。調べてみると、「アリオン」が劇場公開された時期と、「機動戦士Zガンダム」が放送されていた時期は1年ほどの違いしかありません。もしかしたら、影響を受けたということは有り得るのかもしれません。
そして、アリオンが愛した女性として、レスフィーナという登場人物がいました。「アリオン」を観て、「機動戦士Zガンダム」を思い浮かべてしまうと、レスフィーナが「機動戦士Zガンダム」のファ・ユイリィに見えてしまうから不思議です。黒髪で青い目、そして、作品の中でヒロインの位置付けである共通点はありますが、似ているようにしか感じられなかったです。
続いて、効果音の部分では、「北斗の拳」を思い浮かべました。「アリオン」のアニメ本編に使用されている爆裂場面での効果音は、「北斗の拳」の敵キャラが「ひでぶ」する時の効果音と同じなのです。ここにおいても、同世代のアニメ作品なので、効果音が使いまわされていたことは否めないと思います。
特に、この世代のアニメ作品においてはデジタル制作されているものではありませんので、効果音も全て手作りで制作されていた、と伺ったことがあります。
波の音を演出するのに、ザルのようなものの上に小豆を置き、小豆がザルからこぼれないように左右にザルを振ることで、音を作っていたという逸話があります。そういった手法が、アニメ業界の中で共有されていたことを想像させます。
エスフィーナの覚醒
アリオンの父親が登場したり、実は、その父親が実父ではなかったり、と忙しく二転三転する物語展開でした。しかし、クライマックスはエスフィーナが覚醒する場面だったように思います。
主人公のアリオンがピンチになり、それを救うためにエスフィーナが覚醒します。覚醒したエスフィーナの強さは、アリオンの実力を凌ぐほどの瞬発力をみせました。これまで、周囲の環境に流されるままだったエスフィーナの覚醒は驚かされるものがありました。
クライマックスの場面で、ガイアの力を退け、一方的に押している構図は物語冒頭部分では考えられないものであり、ドラマチックな展開でした。
弱々しく言葉も話せないで雑用しかできなかったエスフィーナが、初めて流されるままだった周囲の環境に本気で抗った結果だ思うのです。そして、エスフィーナが覚醒してガイアを打ち倒したことにより、「愛の力」が強調されていた場面だったのではないでしょうか。
恋愛要素は薄かったものの、「愛」というものに比重が置かれたアニメ作品だったように感じられます。
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