短編フラッシュアニメのようなアニメ作品 - ピューと吹く!ジャガー いま、吹きにゆきますの感想

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ピューと吹く!ジャガー いま、吹きにゆきます

4.004.00
映像
3.00
ストーリー
3.00
キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
1

短編フラッシュアニメのようなアニメ作品

4.04.0
映像
3.0
ストーリー
3.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

長期放送されなかった

全10話で終わっており、長続きしなかったようです。週刊少年ジャンプの原作内容は面白いし、これから真骨頂の部分が出てくる、と思ったら終わってしまうので原作マンガの魅力を出し切れていない印象を持ちます。

以下では、面白いと感じた話に焦点を当てて記載していきます。 

ジャガーの縦笛教室

この縦笛の講義がユニークな部分で、姿勢や構え方として、「いまいち気が乗らない構え方」「悪い敵に囲まれた時」「トゥーナッシングの時」など全力でボケにいっています。

また縦笛では色んなメロディーが出せると、「キツネ」「波動砲」など、メロディーではないものまで奏でることができるようです。極め付けは「オージービーフ」のようで、ピヨ彦が「今夜はステーキだい~」とボケ倒しているのも、笑ってしまいました。

ここでは、縦笛と全く関連性のない事柄を唐突に出すことによって、ボケの笑いを狙っているようです。関連性がなければないほど、面白さも比例して上昇していくのではないでしょうか。観る側にツッコミの要素を持たせているのが、このアニメ作品の特徴なのだと思います。

ピヨ彦のツッコミが、ジャガーのボケに対して、追いついていないことも挙げられます。だからといって、ピヨ彦のツッコミをペースアップさせてしまうとアニメ本編の中でのピヨ彦の立ち位置が、ツッコミ担当の色が強くなってしまいます。意図的に、アニメを観ている側にツッコミ要素を持たせているのだと思います。きっと、原作者や制作スタッフは、観ている方に心の中でツッコミを入れながら、観て欲しいのではないでしょうか。

また演奏技術では、初めの「サミング」だけは真面目でしたが、二つ目から「マーキング」「トラベリング」「シーズニング」など「ING」繋がりの言葉を並べただけという単調なボケです。そして、最後の「15カラットダイヤファッションリング」がトドメだったのでしょう。ピヨ彦がここでも「エレガントな輝きがさり気ない女らしさを演出しとるで~」と関西弁でボケ倒しています。

この場面は、ピヨ彦が関西弁を使用する唯一の場面であり、アニメ本編の中でも強調された発言であることが伺えます。しかも、ここではジャガーのボケに対してツッコミを入れるのではなく、ジャガーのボケに合わせてピヨ彦自身がボケていることが印象的なのです。ピヨ彦は基本的に、真面目な人物像で一般的な感性を持ち合わせたキャラクターです。

ここでの大きなポイントは、ピヨ彦にとってジャガーは相容れぬ存在なのだと考えられます。しかし、ピヨ彦は自分自身が気付かないうちに、ジャガー寄りになっていっていることが面白さなのだと思います。結果として、ジャガーの思惑通りになっており、ピヨ彦は縦笛好きマインドに洗脳されかけている表れなのだと思います。

 

ピヨ彦の父親

ピヨ彦の父親が、原宿で珍笛を売っており、その異様な光景をみたピヨ彦が見て見ぬふりしたのが笑えました。これは、自分の環境に当てはめて考えてみても、間違いなく、ピヨ彦と同じ行動をとると思います。例え、父親でなく友達であっても、それは同じことではないでしょうか。

この部分では、ピヨ彦に共感してしまう自分があることが笑いになっています。自分自身の経験を振り返ってみた時、偶然に町で見掛けた友達・知り合いの自分の印象にない姿を見たことはないでしょうか。そして、その姿に引いてしまい、見なかったことにした経験はないでしょうか。

また、ピヨ彦の父親は「父次郎」という名前なのに、ジャガーは「ハメ次郎」と呼ぶセンスに脱帽させられます。これは、クリティカルヒットで面白く、腹を抱えて笑ってしまいました。文字を縦書きする文化がないと、意味が分からないまま終わってしまうネタです。しかし、その部分に着眼点を置き、マンガ・アニメのネタにしたことが素晴らしいことだと思います。

   ハ

父  メ

次  次

郎  郎

縦書き・横書きの違いはあるものの、「さよなら絶望先生」のネタと同じことなのだと思います。

横書きで「糸色望」と書いて「絶望」と読ませるか、縦書きで「父次郎」と書いて「ハメ次郎」と読ませるか、という違いはありますが、秀逸なネタだと思います。また、「さよなら絶望先生」では主人公の名前がネタでしたが、このアニメ作品「ピューと吹く!ジャガー いま、吹きにゆきます」では登場回数の少ないピヨ彦の父親にネタが使用されていました。

この扱いの違いは、この面白いネタをどのような押し具合で表現するのか、ということに表れているように感じます。「さよなら絶望先生」では、主人公にネタが使われていることで、作品全編を通して、押していくネタになっているのです。しかし、「ピューと吹く!ジャガー いま、吹きにゆきます」では、その場限りのネタであり、使い捨てネタというところに抑えられています。

同じネタであっても、原作者によって扱いが全然違うことにも面白みを感じることができます。

 

教育番組にジャガー出演

番組の冒頭から、いきなり呼ばれて登場したジャガーが、「スタッフの皆さん、さっきは調子こいてすみませんでした。今後はああいったものは布などできちんと隠し、ここで見えたりしないよう万全の...」まで言った時点で、番組のお兄さんに裏側に連れていかれます。番組裏側を暴露して、子供の夢を壊しにかかっているジャガーが笑えます。

また、わざとらしく縦笛で「ド」が吹けないことを演出している番組お兄さんが可哀想です。

 

ジャガー

「え!?マジで!?本当に吹けないの!?」

 

お兄さん

「あ〜ジャガーさんの言う通り吹いたら吹けたよ」

 

ジャガー

「最初から吹けたんじゃねーのか!?あんたら、俺を舐めてんのか!?」

 

この回では、大人が、子供向け番組に向けた本音部分を表面化していることが面白いのだと思います。大人になって子供向け番組を観た時、番組のお兄さん・お姉さんに、わざとらしさを感じたことはないでしょうか。そして、それは指摘してはならない暗黙のルールであるといえます。

しかし、暗黙のルールを全力でぶち壊しにいっているジャガーを面白く感じます。

また、毒気を表に出さないジャガーが、この話に限っては、毒気を表面化させています。ジャガーのキャラクターが普段と違うところにも面白さが潜んでいるように思います。そして、ジャガーの普段の印象と、今回の印象のギャップが大きければ大きいほど、比例して面白くなるのではないでしょうか。

 そして、普段はそんなキャラクターではないジャガーが、毒気を表面化させているという事実が、ジャガーの真意を感じさせる部分のように思います。おそらくですが、番組の始まる前に怒られたことを根に持っており、報復してやろう、という気持ちがジャガーの真意だと思うのです。

そういう観点で改めて観てみると、お兄さんとジャガーの駆け引きが一層楽しくなってきます(笑

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