素敵な告白ですね!
スレ違い続くじれったさ
物語の冒頭部分では、風祭さんに恋心を抱いていた柔ちゃんでした。恋敵でもある本阿弥さやかの強烈な押しにより、控えめな柔ちゃんは引いてしまいましたね。
思い返せば、ずいぶん長い話のフィナーレ的なアニメ作品です。切なくさせるし、最後には感動、とまではいかないかもしれませんが、良い終わり方ができたと思います。一般的にも、評価の高い作品ですよね。もっと再放送されても良い作品なのではないでしょうか。今でも、一定の視聴率は確実に見込めると思います。
風祭さんが、さやか側についた時点で恋模様は宙ぶらりだったのが、松田さんという存在に気付く、という展開に発展していきました。彼の一本気な性格で、ずっと自分のことを応援してくれていた存在感の大きさに気付いた、というところでしょうね。
しかし、松田さんに表立って分かるレベルでモーションをかける恋敵が、またまた出現してしまいます。邦子さんは、美女・美人という部分ではド真ん中に位置する女性、しかし胸の大きさという強みがあります。
しかし、一本気の松田さんは邦子に対して、ほぼ好意を示すことはありません。鈍いのか、揺るぎない信念があるのか、柔ちゃんによほど夢中なのか、これがずっと分からないですよね。
きっと松田さんは柔ちゃんのことを女性として意識しておるのでしょうが、色んな感情が邪魔するのでしょうね。
ずっとそのまま物語が進行していくから、観ていてジレンマに感じます。
しかし、松田さんはこの「YAWARAずっと君のことが...」中で、女性として意識する部分が強くなっているような気がするのです。
邦子さんの存在が、松田さんと柔ちゃんの仲で障害になっていく中で、それを乗り越えていく様子がドラマチックに思います。
オリンピック
ジョディとの闘い、それがYAWARAの中で大きなウエイトを占めるようになっていた、と思います。
もちろん!
レテシコア、フルシチュワなど、時間の中では決着を占めるため、時間を割いていたように思います。
しかし、本作ではさほど大きなウエイトを占めていないように思いのです。
ジョディVS柔ちゃんの完結編、因縁の対決が気になるようであれば...という位置づけのような気がしますね。
富士子さんの敵討ち、オリンピックの金メダル、と行方や物語展開・結末はどうしても結んでおくべき、そして、柔道での決着はこの物語では確実に必須な部分です。
キッチリ締め括った、というイメージはあって大変満足です。
ドラマチックなエンディング
誰か、この度合い・ドラマティックな最後を迎えたことを予測された方はいたのでしょうか。
きっと、居なかったように思います。
むしろ、最終回が気になった方がそのままの勢いで観られたのではないでしょうか。
この原作者、最後の結末は随分と練られた中身であり、考え抜かれた内容だったと思うのです。
これだけ続いた漫画・アニメ作品ですからね。原作者の方は数年に渡って、この結末を塾考されたのでしょうね。しかし、考え抜かれた内容は、アニメ史上、または漫画史上に残る中身だったのではないでしょうか。
素朴であり、私生活の中でも現実感があるので、観ていて妙にリアリティーを感じることができるんですよね。
それが素晴らしく、現実社会に活きる男性諸君の参考、影響を与えたと思うのです。
柔ちゃんは多分、期待していなかったと思うのです。お別れをして、きっと悲しく、泣いて過ごすことを本人自身が思い描いていたのではないでしょうか。
その証拠に、柔ちゃん本人から積極的に攻める行動はありませんしね。そのまま、成り行き任せにしている部分が拭えません。
そして、松田さん本人も、告白する気は寸前までなさそうですしね。エスカレーターを降りていって、終わったかな〜と思っていました。そして、あの可愛い柔ちゃんが泣いてしまう展開に、観ていて悲しい気持ちが伝染してきました。しかし、エスカレーターという着眼点が良かったのでしょうか、その後に自力で上がってこれることができます。
階段が自動で下がっていくより、自分の足で早く駆け上がることで、エスカレーターの下りを登っていくことが可能なんです。
エレベーターではありえないシチュエーションだし、階段では感情に訴える部分が中途半端になってしまうように思います。しかし、空港という場所を最後に選んだことが最高です。しかも、柔ちゃんは旅行会社勤務の社会人ですしね。それが別れを演出する最高のシチュエーションになったように思うのです。
これは原作者の意図する部分だったのでしょうか。だとしたら、よっぽど考え抜いた内容に思えて仕方ないです。
しかし、降りてゆくエスカレーターを駆け上がって、告白することなんて考えられますか?この発想は本当に凄いなぁと思えます。
そして、これまで散々抑えてきた柔ちゃん自身の想いが、これを機に、一気に溢れたときの気持ちも同じように感じることができるのです。主人公と共感ではなくても、同じ気持ちを感じることができたような錯覚を起こしてしまうのです。
本当に良い終わり方だったと思いますし、終わり良ければ全て良し、素敵な物語になったと思います。
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