なんといっても表紙の美しさに心を奪われます - あやかし恋絵巻の感想

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あやかし恋絵巻

3.003.00
画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
3.00
演出
2.50
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なんといっても表紙の美しさに心を奪われます

3.03.0
画力
4.0
ストーリー
2.5
キャラクター
2.5
設定
3.0
演出
2.5

目次

美依子が神楽に惹かれたわけ

巫女としては、半人前の美依子。一族の中では、霊や妖怪が見える環境で育っているが、彼女には見えない。見えるようになって、お父さんの職業を継ぎたいというのがすごくよくわかります。それに対して少し焦っているようにも見える。お父さんはその業界では有名な人。お父さんを目標に頑張っている姿が結構一所懸命なのがわかります。でも、どこか空回りしている。友達に言われて、偶然に神楽の正体を暴いてしまった。彼はすごく強い妖魔、淫魔だということがわかります。彼を偶然に払ってしまったので、神楽の姿は人形みたいに小さくなります。でも、神楽に触れることによって化け物が見える。触れないと見えない。見えないと払えない。お父さんの後継ぎとして、しっかり勉強をしていて努力をしているので、魔物の知識はしっかり持っています。結構まじめで父母思いの人柄なのがわかります。そのまじめな人が初めて好きになったのが妖魔とは、しかも淫魔。それは好きなのか、彼の術にはまってしまったのかと疑いたくなります。神楽は、着物姿がすでに艶やかでつやっぽい。さすが淫魔と言われても無理がない容姿で、花柄の着物なのにそれがすごく似合っている。花しょって登場する男性はたくさん見てきましたが、ここまで花が似合う人も珍しい。毎回違う着物姿で登場なのもいいです。この着物柄という柄が決まっていない。美依子ひとりを大切にすると言う言葉どおりに小さな姿でも必死にかばいます。その姿に美依子が惹かれていったとしても無理がないでしょう。

神楽の方は、お父さんに消されようとします。それを必死で美依子がかばいます。「妖魔は悪いやつかもしれないっ。けれど神楽は消しちゃダメだ・・・」という彼女のピュアな思いが彼に届いて、いろいろな女性に手を出すはずの淫魔が美依子だけに心を奪われた。彼の苦難の日々が続くのがわかりますが、彼女ひと筋なのがすごくいいです。「せっかくだからデートして帰るか・・・」という神楽の一言にドキドキしている美依子。普通のデートがしたいと思う美依子もかわいいです。ソースを口の周りにいっぱいつけて、ハンバーガーを食べる美依子に驚きながらもかわいいと思えるのは、恋愛のなせる技なのだと思います。恋をしていないと、かわいいと思えたりしない場面です。出会いが出会いだっただけにいろいろな事件に巻き込まれて、どきどきの連続のジェットコースターに乗った気分で一気に3巻でやっとでデートです。美依子が待ち焦がれていたわけです。

女性の心を鷲掴みにする漫画

新條まゆ先生は、本当に女性の心がわかっていらっしゃる。どう言えばきゅんとするのか、どういった場面がいいのか色っぽいのかが全部漫画に表れています。神楽がかっこいい!神楽のお父さんはもっとかっこいいです。神楽とそっくりですが、少し違う。でも、やっぱり神楽がいいと思うのは、1巻から見ているからだけではなく、美依子ひと筋で守り抜いてきている姿からです。部屋を借りるときに一時的に王子様風になった神楽もいいです。小さい神楽は神楽でかわいいのです。白神楽として自ら封じられ、美依子が結婚するという三々九度の途中で元の姿に戻る。「俺を愛したことは運命だと思ってあきらめろ。ずっと・・・お前のそばにいてやるよ」そのセリフにきゃーとなった人が何人いたか!神楽に心をもっていかれました。色っぽいシーンだけで、まとめてあるように見えますが、桜の精霊の須桜を助けるところでは、美依子に知恵を与えます。それを自然に彼女に気付かせる。どきどき感だけではなく、そんな考えもただ提案してあげるのではなく、彼女が気がつかないといけないところでは、ちゃんと気づかせてくれる。そんな存在、神楽だからこそ、みんなを夢中にさせるのだなと思います。いろいろなどきどき感をたくさん散りばめてある作品に次の巻に手が出ても仕方がないです。ラストまで目が離せない作品です。

昔話を上手に利用した物語づくり

昔話になぞらえて、桃太郎から始まり、金太郎を思い出させ、何の物語がベースだろうとううんと悩んでいると同じところで神楽が「なんだろう・・・このデジャヴ感。ここまで答えが出ているのに思い出せないっつーか、聞いたことあるっつーか、なにか大切なこと忘れてるっつーか・・・」と言っています。その後に月が浮かび上がっているシーンで、かぐや姫かあと思い出します。同じ場面で神楽ともやもやしていたのが面白いシーンです。1泊2日の温泉旅行、しかも神楽とふたりきりというシーンで桃が流されてきて、思わず美依子が拾ってしまう。乳を求める赤ちゃんに神楽が妖気を与える意味で乳を吸わせるのがまた笑えます。月へ帰る桃太は、トナカイに引かれたかぼちゃの馬車に乗っています。結局かっこよく育った子どもは、月へ帰ってしまうという作者の遊びのような場面です。上手に昔話をたくさん総動員させて作られています。うーん。もやもやした場面も上手に神楽を利用してセリフに現されていています。美依子はラストで気づいてかぐや姫と叫んでいますが、かぐや姫を男性にして、神々夜様としたのもおもしろい。ラストで神々夜が置いていった物で美依子が色っぽい仕草をしていますが、それに応えない神楽がまた物語をおもしろくさせています。

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